
香川県高松市の咬み合わせ専門歯科 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
「左の奥歯がなくなってから、ずっと右側だけで噛んでいる」
「奥歯を抜いたあと、忙しくてそのままになっている」
「気づけば左右の奥歯がなく、前歯でなんとか食べている」
そんな状態のまま、何年も頑張ってこられた方はいらっしゃいませんか?50代以降の女性のお口を拝見していると、奥歯を失ったまま過ごしてこられた方は少なくありません。でも、それは決して「歯を大事にしてこなかった」からではないと思います。
よくよくお話をうかがっていくと
子育てがあった。
親の介護があった。
仕事も家事もあった。
家族の予定を優先して、自分の歯医者は後回しになった。
痛みが落ち着けば、「まあ、今はこれでいいか」と思うしかなかった。きっと、そうやって毎日を必死に回してこられた方がほとんどです。
まずは、そのことを決して責めないでください。
あなたが誰かのために頑張ってきた時間でもあります。
ただ、これから先の人生は、少しずつご自身の口にも目を向けていただきたいのです。
実は、左右の奥歯がない状態は、「噛みにくい」だけの問題ではありません。残っている歯、前歯、顎の関節、顔つき、食事内容、体の元気にまで影響することがあります。
今からでも遅すぎるとは限りません。まずは、今のお口の状態を知ることから始めてみませんか。
「前歯があるから食べられる」と思っていませんか?

奥歯がなくても、やわらかいものなら食べられる。
前歯で小さくすれば、なんとか飲み込める。
そう感じている方も多いと思います。
でも、「食べられている」と「しっかり噛めている」は違います。
前歯は、食べ物を噛み切るための歯です。
奥歯は、食べ物をすりつぶすための歯です。
包丁で野菜を切ることと、すり鉢でごまをすりつぶすことが違うように、前歯と奥歯にはそれぞれの役割があります。
奥歯がないまま前歯で頑張り続けると、前歯に無理な力がかかりやすくなります。
その結果、前歯がすり減る、ぐらつく、出っ歯のように前に押し出される、歯と歯の間にすき間ができるといった変化が起こることがあります。
「最近、前歯で噛みにくい」
「前歯が少し動いてきた気がする」
「口元が前より頼りなくなった」
そんな変化がある場合、奥歯の支えが関係していることもあります。
奥歯は、口元を支える「柱」のような存在です

家を支える柱が少なくなると、残った柱に負担が集中します。
最初はなんとか持ちこたえていても、時間が経つほど建物全体にゆがみが出ることがあります。
お口の中も同じです。
奥歯は、噛む力を受け止める大切な柱です。
左右の奥歯がない状態が続くと、残っている歯だけで噛む力を支えることになります。
特に50代以降は、歯周病(歯を支える骨や歯ぐきに炎症が起こる病気)や骨の変化、筋力の低下も重なりやすい時期です。
「昔は平気だった噛み方」が、今のお口には負担になっていることもあります。だからこそ、今のお口に合った噛み合わせを考えることが大切です。
左右の奥歯がないまま過ごすと起こりやすいこと
①残っている歯が疲れてしまう
奥歯がないと、残っている歯がその分まで頑張ることになります。特に前歯や小臼歯(しょうきゅうし:前歯と奥歯の間にある小さめの奥歯)に負担がかかると、歯が揺れる、噛むと痛い、被せ物が外れやすい、歯が割れるといったトラブルにつながることがあります。
今ある歯を守るためにも、奥歯の支えをどう回復するかはとても大切です。
②口元がしぼんで見えることがある

奥歯を失うと、噛み合わせの高さが低くなることがあります。これを咬合高径(こうごうこうけい:上下の歯が噛み合ったときの顔の高さ)といいます。咬合高径が下がると、口元がしぼんで見えたり、頬がこけたように見えたり、ほうれい線が深く見えたりすることがあります。
もちろん、顔つきの変化には年齢、筋肉、姿勢、生活習慣なども関係します。ただ、奥歯の支えがなくなることで、口元の印象に影響が出ることはあります。
「最近、急に老けて見える気がする」
「写真を撮ると、口元が前と違う」
「口を閉じると、なんとなく疲れた表情に見える」
その背景に、噛み合わせの変化が隠れている場合もあります。
食べたいものを無意識にあきらめてしまう

奥歯がない方は、知らず知らずのうちに食べ物を選ぶようになります。
お肉は小さく切る。
たくあんやごぼうは避ける。
葉物野菜は噛みにくい。
ナッツやせんべいは怖い。
外食では、やわらかそうなものを選ぶ。
そんなふうに、いつの間にか「食べたいもの」より「噛めそうなもの」を選ぶ毎日になっていませんか?
食事は、栄養をとるだけの時間ではありません。
家族と同じものを食べること。
友人との外食を楽しむこと。
季節の味を味わうこと。
それは、暮らしの喜びでもあります。噛める口を取り戻すことは、食事の楽しみを取り戻すことにもつながります。
片側だけで噛む癖が、顎や肩に影響することもある

片方の奥歯がないと、反対側ばかりで噛むようになります。これを偏咀嚼(へんそしゃく:左右どちらか一方に偏って噛むこと)といいます。
偏咀嚼が続くと、顎関節(がくかんせつ:あごの関節)や筋肉に負担がかかることがあります。
顎が疲れる。
口を開けると音がする。
噛むと片側だけ痛い。
肩こりや首のこりが続く。
これらがすべて歯だけで起こるわけではありません。
けれど、噛み合わせが関係しているケースもあります。
吉本歯科医院では、歯だけでなく、顎の動きや噛む力のかかり方も含めて確認します。
「今さら行っても・・・・」と思われている方へ
奥歯がないまま長く過ごしている方の中には、歯科医院に行くこと自体が不安な方もいらっしゃいます。
「どうしてこんなになるまで放っておいたのですか、と言われそう」
「口の中を見せるのが恥ずかしい」
「もう手遅れと言われたら怖い」
「治療費のことを考えると、相談するのも気が重い」
そう感じるのは自然なことです。歯を失った背景には、人それぞれの事情があります。
忙しかった時期、怖かった経験、通えなかった理由、家族を優先してきた日々。そのすべてを否定する必要はありません。大切なのは、今日からどうするかです。
50代以降の女性こそ、奥歯の治療を後回しにしないでほしい理由

50代以降は、これからの人生をどう過ごすかを考え始める時期です。
子育てが一段落した方。親の介護を経験された方。仕事を続けながら、自分の体の変化を感じ始めた方。これからは少し、自分のために時間を使いたいと思っている方。そんな時期に、噛めないことを「仕方ない」とあきらめてしまうのは、とてももったいないことです。
これから先も、何度も食事をします。
家族と食卓を囲みます。友人とランチに行くかもしれません。旅行先で、その土地のものを味わう機会もあるでしょう。
そのたびに、歯のことを気にしてメニューを選ぶのか。それとも、できるだけ自分の口で噛んで味わえる状態を目指すのか。
奥歯の治療は、単に歯を入れることではありません。これからの毎日の食事と笑顔を支えるための治療です。
奥歯を取り戻すための治療方法
左右の奥歯がない場合、治療方法はいくつかあります。
どの方法が合うかは、残っている歯の状態、歯ぐきや骨の状態、噛む力、生活スタイル、ご希望によって変わります。
ブリッジ

ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削り、橋をかけるようにつながった被せ物で補う方法です。
固定式なので、取り外しの手間がないことが特徴です。
ただし、支えになる歯を削る必要があり、その歯に負担がかかります。
奥歯の一番後ろがない場合や、支える歯が弱い場合には、適応が難しいこともあります。
部分入れ歯

部分入れ歯は、残っている歯に金属のバネをかけて使う取り外し式の装置です。
保険診療で対応できることがあり、費用を抑えやすい方法です。
一方で、金属のバネが見える、違和感がある、バネをかけた歯に負担がかかることがあります。
「まずはない部分に歯を入れたい」「費用面を重視したい」という方にとって、選択肢の一つになります。
精密入れ歯

精密入れ歯とは、型取り、噛み合わせ、素材、設計をより丁寧に行う自費診療の入れ歯です。
保険の入れ歯に比べて、薄さ、安定感、見た目、噛み合わせの調整に配慮しやすい場合があります。
ただし、入れ歯である以上、慣れや調整は必要です。お口の状態に合わせて、無理なく使えるように整えていきます。
インプラント

インプラントとは、顎の骨に人工歯根(じんこうしこん:人工の歯の根)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療です。
固定式で噛みやすく、隣の歯を削らずに補えることがあります。
一方で、外科処置が必要です。骨の量、歯周病の状態、全身の健康状態、噛む力、メンテナンスの継続などを確認したうえで判断します。
インプラントが向いている方もいれば、精密義歯や入れ歯の方が合っている方もいます。大切なのは、方法を先に決めるのではなく、今のお口全体を診てから考えることです。
かみ合わせ専門の吉本歯科医院が大切にしていること
吉本歯科医院では、奥歯がない方を診るとき、失った歯の部分だけを見るのではありません。
なぜ奥歯を失ったのか。
残っている歯にどんな力がかかっているのか。
前歯に負担が集中していないか。
顎の位置は安定しているか。
歯ぎしり(寝ている間などに歯をこすり合わせる癖)や食いしばり(無意識に強く歯を噛みしめる癖)はないか。
こうした点を確認しながら、かみ合わせ全体を考えます。
奥歯を補う治療は、抜けた場所に歯を入れるだけではありません。これ以上歯を失わないために、噛む力の流れを整える治療でもあります。
家でいえば、壊れた柱だけを取り替えるのではなく、地盤や屋根の重さ、全体の傾きまで見て補強するようなものです。
お口も一つの建物のように、全体のバランスが大切です。
「もっと早く相談すればよかった」となる前に
奥歯がない状態に慣れてしまうと、それが普通のように感じることがあります。でも、治療を始めた方からは、
「こんなに噛めていなかったんですね」
「食事の時間が前より楽しみになりました」
「口元を気にせず笑いやすくなりました」
「もっと早く相談すればよかったです」
というお声をいただくことがあります。
もちろん、治療には時間も費用もかかります。お口の状態によって、できること・できないこともあります。それでも、今の状態を知るだけでも、これからの見通しは立てやすくなります。「治療するかどうか」まで、すぐに決める必要はありません。まずは、ご自身のお口が今どうなっているのかを知ることが大切です。
よくあるご質問
Q. 奥歯がないまま何年も経っています。今からでも治療できますか?
治療できるケースは多くあります。ただし、長い期間そのままになっていると、隣の歯が倒れていたり、噛み合う相手の歯が伸びていたりすることがあります。その場合は、治療計画が少し複雑になることもあります。まずは現在のお口の状態を確認し、どのような選択肢があるかを一緒に考えます。
Q. 入れ歯には抵抗があります。ほかの方法はありますか?
状態によっては、インプラントや義歯などが選択肢になることがあります。ただし、「入れ歯は嫌だからインプラント」とすぐに決めるのではなく、骨の状態、残っている歯、噛む力、全身状態を確認することが大切です。無理のない方法を一緒に考えていきます。
Q. インプラントは怖いです。手術以外の方法はありますか?
あります。外科処置に不安がある方や、インプラントが適応しにくい方には、精密入れ歯や義歯が選択肢になることがあります。お口の状態によって向き不向きがありますので、診断のうえでご説明します。
Q. 口の中を見せるのが恥ずかしいです。
そう感じる方は少なくありません。でも、歯科医院は責める場所ではありません。これまで頑張ってこられた生活の中で、歯のことが後回しになっただけです。今からどうすればよいかを考えるために、安心してご相談ください。
まとめ|奥歯を取り戻すことは、これからの自分を大切にすること
左右の奥歯がない状態は、噛みにくいだけではありません。
残っている歯に負担がかかる。
前歯が弱りやすくなる。
口元の印象が変わることがある。
食事が偏りやすくなる。
顎や体のバランスに影響することがある。
こうした変化は、少しずつ進むため、気づきにくいものです。
これまで、ご自身のことを後回しにしてこられた方も多いと思います。
家族のために、仕事のために、毎日を支えるために、たくさん頑張ってこられたはずです。
だからこそ、これからはご自身の口にも、少し目を向けてあげてください。
奥歯を取り戻すことは、単に歯を入れることではありません。
これからの食事を楽しむこと。
笑顔で話すこと。
家族や友人と同じものを味わうこと。
そして、自分自身を大切にすることにつながります。
「もう遅いかもしれない」と思わず、まずは今のお口の状態を知ることから始めてみませんか。吉本歯科医院では、かみ合わせ専門の視点から、残っている歯を守りながら、これからの人生に合った治療方法を一緒に考えていきます。



