
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門にしている「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
インプラント治療をご検討中の患者さんや、すでにインプラントを入れている方から、こんなご質問をよくいただきます。「インプラントを入れたら、もうMRI検査は受けられないんですか?」
結論からお伝えすると、ほとんどの場合、インプラントを入れていてもMRI検査は問題なく受けられます。ただし、これには正しく理解しておくべきポイントがあります。今回は、インプラントとMRIに関するよくある誤解を、専門医の立場から分かりやすく解説します。
目次
- MRI検査とは何か?なぜ金属が問題になるのか?
- インプラントはどんな素材でできているのか?
- インプラントがあってもMRIを受けられる理由
- 注意が必要なケースとは?
- MRI検査前にすべきこと
- 当院でよく受けるご質問と回答
- この記事のまとめ
1. MRI検査とは何か?なぜ金属が問題になるのか?

MRI(磁気共鳴画像法)は、強力な磁場と電磁波を使って体内の断面画像を撮影する検査です。放射線を使わないため、繰り返し受けても安全とされており、脳・脊椎・関節・内臓など幅広い部位の診断に使われています。
MRIで金属が問題になる主な理由は3つです。
① 磁場による引力(吸引)
強磁性体(鉄・ニッケルなど)でできた金属は、MRIの強力な磁場に引き寄せられます。体内にあればずれたり移動したりする危険があります。
② 発熱
電磁波が金属に作用することで熱が生じ、周囲の組織に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 画像の乱れ(アーチファクト)
金属があると画像に歪みや白い影が生じ、診断精度に影響することがあります。
これらの問題が「金属=MRI不可」という誤解につながっていますが、問題になるのはあくまでも強磁性体の金属です。インプラントに使われる素材は、これとは大きく異なります。
2. インプラントはどんな素材でできているのか?
歯科インプラントの本体(顎の骨に埋め込むフィクスチャー部分)は、ほぼすべてのメーカーでチタン(titan)またはチタン合金が使用されています。チタンは非磁性体です。つまり、磁場に引き寄せられる性質を持ちません。MRIに使われる磁場の影響をほとんど受けず、体内での移動や吸引のリスクがないため、医療材料として世界中で広く使用されています。
また、チタンは生体親和性が極めて高く、アレルギー反応が起きにくいことでも知られています。骨と結合(オッセオインテグレーション)する性質を持つため、インプラント材料として最適とされているのです。
| 素材 | 磁性 | MRI適合性 |
|---|---|---|
| 鉄・ニッケル | 強磁性体 | 不可 |
| ステンレス(一部) | 弱磁性体 | 要確認 |
| チタン | 非磁性体 | 基本的に可 |
| コバルトクロム合金 | 非磁性体 | 基本的に可 |
3. インプラントがあってもMRIを受けられる理由

現在、日本で使用されている主要なインプラントメーカー(Nobel Biocare、Straumann、京セラ、など)の製品はすべてチタン製であり、国際的な医療機器規格(ISO・ADA)に基づいてMRI適合性が確認されています。
当院でも使用しているNobel BiocareおよびThree-i等のインプラントは、MRIとの適合性が製品仕様として明記されており、患者さんへも安心してご案内しています。
MRI適合性は英語で「MRI Safe」または「MRI Conditional(条件付き適合)」と表記されます。「MRI Conditional」とは、特定の磁場強度・条件下であれば安全に使用できることを意味します。現在の標準的な病院のMRI装置(1.5テスラ・3テスラ)であれば、ほとんどのチタン製インプラントは問題なく対応しています。
4. 注意が必要なケースとは?
基本的にチタン製インプラントはMRI可能ですが、以下のケースでは注意が必要です。
① 上部構造(被せ物)に金属が含まれている場合
インプラントの上に装着するクラウン(被せ物)に金合金・銀合金・コバルトクロム合金などが使用されているケースがあります。これらがMRI画像に影響を及ぼすことがあります(ただし安全面での問題はほぼないとされています)。
② 古いタイプのインプラントの場合
10〜20年以上前のインプラントには、現在とは異なる素材が使われている場合があります。担当歯科医院に確認することが必要です。
③ 撮影部位が口周辺の場合
脳・頸部・顎関節などの撮影では、インプラント部分がアーチファクト(画像の歪み)として写り込むことがあります。診断精度に影響が出る場合は、担当の医師・技師と事前に相談することが大切です。
④ 心臓ペースメーカーなど他の医療機器を併用している場合
インプラントとは別の問題ですが、ペースメーカーや人工内耳など他の埋め込み型医療機器がある場合は、それらのMRI適合性も別途確認が必要です。
5. MRI検査前にすべきこと
インプラントがある方がMRI検査を受ける際は、以下を事前に行ってください。
① 歯科医院に連絡してインプラントの情報を確認する
インプラントのメーカー名・製品名・素材を確認し、MRI適合性の書類(保証書・製品カード)を用意しておくと安心です。当院では患者さんに「インプラント手帳」をお渡ししており、これを提示いただくだけで情報が確認できます。
② MRI検査を受ける病院・クリニックに事前申告する
予約時または当日受付で「歯科インプラントがあります」と申告してください。放射線技師が適切に対応します。
③ 自己判断で申告を省かない
「チタン製だから大丈夫」と自己判断して申告しないのは危険です。必ず医療スタッフに伝えてください。画像の判読に影響する場合、撮影方法を調整してもらえることがあります。
6. 当院でよく受けるご質問と回答
Q. インプラントを検討中ですが、将来MRIが受けられなくなりますか?
A. 当院で使用しているチタン製インプラントは、MRI適合性が確認されています。将来のMRI検査を心配してインプラントをためらう必要はありません。
Q. インプラントが熱くなったりしませんか?
A. チタンはMRIの電磁波による発熱がほとんど起きません。MRI検査中に痛みや熱さを感じることは通常ありません。
Q. 歯科のレントゲン(CT)とMRIは違いますか?
A. はい。歯科CT(コーンビームCT)はX線を使った撮影で、金属があっても撮影自体は可能です(ただし金属周囲に画像の歪みが生じます)。MRIは磁場を使うため別の確認が必要です。
この記事のまとめ
✅ 現在の歯科インプラントはほぼすべてチタン製(非磁性体)であり、MRI検査を受けることができます。「インプラント=MRI不可」は誤解です。
✅ ただし、上部構造(被せ物)の素材・インプラントの年代・撮影部位によっては注意が必要です。事前に担当歯科医院に確認することをお勧めします。
✅ MRI検査を受ける際は、「インプラントがある」ことを必ず医療スタッフに事前申告してください。画像への影響を最小限にする対応が取れます。
✅ 当院の院長・吉本彰夫は(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医・(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医です。インプラントや素材の選択についてご不安な方は、専門医の立場からご説明します。
香川県高松市・吉本歯科医院では、インプラントに関するご相談を無料で承っております。「インプラントを入れると将来どうなるの?」という段階からお気軽にお問い合わせください。
院長プロフィール 吉本歯科医院 院長 吉本彰夫 (一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医 (公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医 咬み合わせと補綴の分野において、日本の歯科界でも最高水準の資格を持つ専門医として診療を行っています。



