
「60歳を過ぎたあたりから、鏡を見ると前歯が前に飛び出してきたような気がするんです。」
そうおっしゃって来院された患者さまがいらっしゃいました。実はこのようなご相談はとても多いです。
昔はきれいに並んでいた上下の前歯が、最近になって急にガタガタしてきた。
それだけでなく、前歯のうち何本かがグラグラ動くような感覚もある。
虫歯ではないのに歯が動く。
実はこれは、「咬み合わせ全体のバランス崩壊」が進んでいるサインです。
咬み合わせは一生モノではありません
人は年齢とともに、顎の骨の高さ、筋肉の力、舌の位置、そして奥歯のすり減り方が少しずつ変化していきます。
その「少しずつ」のズレが積み重なると、まるで積み木の一番下がずれたように、前歯が押し出される形で出っ歯のようになったり、歯列が波打つように乱れてきたりします。

親知らずが“後ろから押す力”になっていることも
今回の患者さまのケースでは、4本の親知らずがすべて残っていました。
親知らずは生え方によっては、奥歯全体を前方向に押すような力をかけ続けます。
若い頃は問題がなくても、加齢とともに歯槽骨(歯を支える骨)がわずかに減り、支えが弱まると、その“押す力”が前歯の歯列に影響を及ぼすようになります。
つまり、後ろからの押し出し力と、咬み合わせのズレが重なって、前歯が飛び出して見える。このような現象が実際に起こります。

歯は「一生動き続ける」
ここで強くお伝えしたいのは、歯というのは固定された状態ではなく、一生を通して少しずつ動き続ける、ということです。

噛む力、舌の圧、頬の筋肉、歯ぎしり、寝る姿勢や噛み癖
そのすべてが歯列にわずかな力を加え、年月をかけて歯の位置を変えていきます。
だからこそ、
「昔はきれいだったから大丈夫」という油断は禁物です。
歯並びや咬み合わせの変化は、静かに・確実に・少しずつ進行していきます。
吉本歯科医院での診断と治療の考え方

吉本歯科医院では、咬み合わせの診査を「口全体」で行います。
上下の歯の接触状態(咬合接触)
顎の動きのスムーズさ(顎関節機能)
噛む筋肉のバランス(触診)
親知らずを含む歯列全体の力の流れ
過去の咬耗(歯のすり減り)履歴
これらをトータルで見て、「なぜ歯が動いたのか?」「どの歯に過剰な力がかかっているのか?」を診断していきます。
そして治療では、必要に応じて仮歯を使いながら、正しい咬み合わせの高さ・位置・力のバランスを再構築していきます。
院長コメント
歯は固定されたものではなく一生動き続けます。年齢とともに動き、咬み合わせの力のバランスも変わります。
前歯が出てきた、歯が揺れる、その小さな違和感は「体の中の力の変化」のサインです。
歯を1本単位で見るのではなく、口全体、さらに顎関節や筋肉を含めた「全体の調和」が大切です。
早い段階で咬み合わせの乱れを見つけ、バランスを整えることが、自分の歯を守る最良の方法です。
吉本歯科医院では、
「前歯が出てきた」「歯が動いている気がする」などのご相談を初診カウンセリングで丁寧にお伺いしています。
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