今までお世話になりました。ついに夢をかなえます!!
ずいぶん久しぶりの更新になりました。
昔ご覧になっていただいていた方はお久しぶりです。
この度5年半働かせていただいたこの「吉本歯科医院」を卒業し、20年以上前からの夢であった「開業」をすることになりました。
余り湿っぽいのが苦手で、ほとんどの患者様にはご挨拶もできないままでしたが、なるべく最後まで普段道理に患者様と接したかったので、この場を借りてのご報告、どうかお許しください。
思い起こせば5年半前、研修医中に3度見学に来させていただき、日常診療からオペまでを見て、就職先に決めた吉本歯科医院。
厳しいことで有名で、そのこだわりの強い診療は一切の妥協を許さず、かみ合わせを中心にインプラント、審美、義歯、矯正など、たくさんのことを行っている歯科医院でした。
私自身、研修医上がりで、医師とは名ばかりの、まだ何もない状態でしたので、何とか一流の歯科医師になりたくて、でも生まれ育った地元香川で患者様の助けになりたくて、就職先を探していました。
「ぬるま湯につかっていて、その温度になれたとしても、熱湯には耐えられないけれど、熱湯に初めから飛び込んだら、初めは熱いしやけどするかもしれないけれど、慣れたころには熱湯にも耐えられるようになれるはず!!」
そう信じて、吉本歯科医院の門をたたきました。
実際初めの3年間はほとんど何もやらしてもらえず、まるで厳しい高級店の板前の修業のような、基本基本の繰り返しの毎日で、周囲の同級生や勤務医たちはどんどんいろんなことをさせてもらっているのを聞いたりすると、
「本当にこれでいいのか?このままではいい歯科医師どころか、いっぱしの歯科医師にすらなれないんじゃないのか??」
と自問自答しながらの不安な毎日でしたが、4年目を迎えたころからすこしづつ仕事を任せてもらえるようになり、5年を過ぎたころにはほとんどのことをやらせてもらえるようになっていました。
吉本院長は、基本はしっかり持っていながら、そのうえで先進的な治療や、考え方を実践されていて、古くに書かれた、大学で習う「成書」と呼ばれる有名な教科書などにはない治療方針も多く、(しかしそのすべてが成功していました)
初めは何を考えているのか必死で推測しても全く当たらず、失敗もたくさんしてしまいましたが、我慢強く質問したり、見学したり、毎日残って練習したりしていくうちに、少しづつ何を考えているのかがわかりはじめ、5年目には患者様や症状を見ただけで、浮かんでくる治療方針や、原因、対処法が院長のそれとほぼ同じになってきたことを実感できるようになっていました。
そして、それが「できる」ようになったから、吉本歯科を卒業し、自ら開業してもきっとやっていける!!という自信にもなりました。
熱湯に耐え続け、確かにやけどもたくさんしましたが、それに慣れた今、間違いなく様々な分野、意味で強い自分になれたと実感しています。
5年半・・・長いようであっという間だった気がします。その間2000名を超える患者様を診させていただきました。そのすべてが私にとって貴重な教師であり、教科書であり、経験と自信になってくれました。
また、その5年半の間に、インプラントや審美歯科の学会で発表させて頂いたり、高名な先生の下に勉強しに行ったり、なかなか他の歯科医院からではできない貴重な経験もたくさん積ませていただくことができました。
普通に勤めているだけでは知る事の出来ない、世界の広さ、物事の見方を若いうちに知ることができたのは、今後様々な所で役に立ってくれると思います。
先日開いていただいた送別会で、いろんなことを思い出しながら、その方々への深い感謝と、これから新枝歯科医院にご来院いただく患者様にそれらをしっかりと還元させていただくことを心に誓いました。
そして、未熟な勤務医上がりだった私を、一人前(?)にまで育て上げていただいた吉本院長並びにスタッフさん達にも感謝です。
新しいスタッフたちと造り上げていく「新枝歯科医院」は、吉本歯科医院で学んだ本当に多くの事や技術を柱に、最高の歯科医院にしていけたらとおもいます。
これからもどうか変わりなく「吉本歯科医院」を愛していただけたら幸いです。
また、新しく生まれる「新枝歯科医院」もどうぞよろしくお願いいたします。
「虫歯」!!
じゃあ虫歯を予防するのにどうしたらいい?と聞いたら、間違いなく1位はこれでしょうね。
「歯磨き」!!!
確かに虫歯、歯周病は歯を失う理由の2トップです。
虫歯も、大きなくくりで歯が壊れる、割れる、穴が開くことを言うのなら、原因は虫歯菌、過剰な、暴力的な力(歯ぎしり、過剰に集中した噛む力、親知らずなど・・・)といろいろ考えられますが、今回は皆さんが一番に思いつくであろう「虫歯菌」が原因の虫歯と、その対策についてお話ししようかと思います。
まず、虫歯菌はなぜ歯に穴をあけていくのでしょう??
ばい菌が歯をかじっているのでしょうか?
答えはNO!!
虫歯菌のエサは人間の歯ではありません(笑)
虫歯菌のエサの主なものは「糖(スクロースなど)」です。(そのほか炭水化物などもエサにします)
① お砂糖を使って虫歯菌がまず歯にくっつき、プラーク(ばい菌の塊のような物)をつくっていきます
② その中で虫歯菌が糖や炭水化物をエサに乳酸やギ酸という「酸」を作り始めます。
③ お口の中に酸がいっぱいに・・・((+_+))酸性になっていきます。
④ Phがあるライン(エナメル質で5.5以下、象牙質はなんと6.3以下)まで下がると歯は溶け始めます。(Phは最大14で、アルカリ性~7が中性~それより数値が小さくなるほどどんどん酸性に)という風に、歯は溶かされていきます。
さすがにずっとお口が酸性のままだと歯がなくなっちゃうので、体も中性に戻す機能を持っていますが、その「体の中性に戻す機能」を超えるほど虫歯菌がたくさんエサを食べられると虫歯は進行していってしまいます。
ちなみに「体の中性に戻す機能」の大きな一つに、「唾液」がありますが、この「唾液」の質や量には大きな個人差があり、唾液の量が多い人、中性に戻す作用が強い人はもちろん虫歯になりにくいですし、お年寄りのように唾液の量が減少してしまったり、もともと中性に戻す作用が弱い唾液の質の方は、その量を増やしたり、質を変えるのは難しいです。
では、そんな方は虫歯なり放題なのをあきらめるしかないのでしょうか?
そして、先述の「歯磨き」ですが、歯並びが極めてよく、普通に磨けばあっさりばい菌をのけられる方は楽なのかもしれません。
しかし、そんなことはほとんどいませんし、歯並びが複雑だったり、矯正などのような装置を歯に付けていたら、なかなか簡単には虫歯菌を磨きとるのも難しいでしょう。
そして、たとえどんなに頑張って磨いても、お口の中に1度でも虫歯菌が感染したら、完全に0にすることは不可能です。
ではいったいどうしたらいいのでしょう??
吉本歯科医院でも矯正されている方や、虫歯になりやすい患者様はいらっしゃり、いくつかの対策をご相談させていただいています。
一つ目は音波歯ブラシ「ソニッケア」
これはフィリップス社というところが特許を持つ、特殊な振動数で動く電動歯ブラシで、毛先がふれているところはもちろん、正しく使えばその振動の力で唾液などに水流を作り出し、毛先が当たっていないところの汚れまで取り除くことが出来ます。
詳しくは院長の過去のニュースレターの記事に書かれていますので、そちらをお読みください。
また、スタッフにもお気軽にお尋ねください。効能や、他者の音波歯ブラシとの違い、正しい使い方など、お話しさせていただきます。
そしてもう一つはフッ素です。
こちらは汚れを取り除くというよりは、歯そのものを強くして、虫歯になりにくくしたり、お口の中を虫歯になりにくい状態にする効果があります。
続く
徳島大学矯正教授によるアンカースクリュー矯正講座修了書
徳島大学矯正科教授によるアンカースクリュー矯正講座修了証
■金属の選択■
今回のコラムはちょっと変わったお話「金属の不思議」についてお話しましょう。
まずは昔の理科の授業をちょっぴり思い出してみてください。
「金属」の性質ってどんなものでしたっけ・・・?
■ たたけば伸びる、溶かせばより形変えられる。
■ いろんな金属と混ぜて、合金が作れる
■ 電気が流れたりする
■ 結構な金属がさびたり腐食したりする。(金とかはさびにくいよ)
どうです?
理科嫌いの方はちょっと頭が痛くなってきちゃいましたか(笑)?
もっと詳しく言えば、
展延性だの、
イオン化傾向だの、
金属結合だのと
難しい言葉やお話がでてくるのですが、今回のお話に必要なのはざっくり上の4つくらいです。
歯科では多くの金属を扱います。
被せ物、
つめもの、
差し歯に使う心棒・・・。
「噛む」という行為には何十~百kg単位の力がかかるため、
それに耐えうる材質というのはどうしても限られるためです。
特に、保険で認められるものの多くは金属性です。
そして、保険で認められている金属はほぼ「金銀パラジウム合金」通称「金パラ」というものです。それ以外の高価な金属は、ぜいたく品なため、保険では使用が認められていません。
ではこの「金パラ」、どんな金属なんでしょう?その名のとうり、いろんな金属を混ぜて作った「合金」です。
名前だけ見たら「金」とか言ってるし、錆びにくくて、輝くような、すばらしい金属のように思えますよね?
しかし、実際は、この合金のうち70%以上が「パラジウム」です。このパラジウムは、腐蝕しやすく、また金属アレルギーを引き起こしやすい金属でもあります。
あとの30パーセントのうちのほとんどがこれまた腐蝕、酸化しやすい「銀」で、「金」は実際にはほんのちょっとしか含まれていません。
つまり、まとめるとこれらの混ぜものである「金パラ」は、腐食しやすく、アレルギーになりやすいとっても残念な金属・・・ということになります。
なんでこんな金属を保険では扱っているのでしょう?
それは、戦後のものが無い時代に、割と安価に作れた金属だったからで、物価も流通も全く代わったこの21世紀においても、その頃と保険制度がほとんど変わっていないため、日本では未だにこの金属しか保険では選択できないのです。
ちなみに欧米の歯科先進国ではこの金属はもうほとんど使われていません。
下に写真をお載せします。
一方は出来たばかりの被せ物や心棒、もう一方は作ったものの、お口の中に入れず、5年ほど空気中で置いておいたものです。
その差が分かりますか?
出来たばかりは綺麗に輝いていますが、
5年後は黒ずみ、腐食してしまっています。
お口の中に入れなくてもこうなってしまうのです。
お口の中の環境というのは、普段はアルカリ性ですが、食べ物を食べた後は酸性になります。
そうでなくても酢の物を食べたり炭酸飲料なども飲まれますよね?
そんな環境下で使用したらどのようなことが起こるかはいうまでもありません。
またもう一つのお写真もご覧下さい。
これは両方とも5年程度空気中で経過したものです。
違いは、一方は当医院で自費で使用している金属です。
もう一方は先ほどと同じ金パラ製。
自費で使用している金属は全く腐食していません。
保険では使いたくても選択できないけれど、こういった金属も存在はしているのです。
最近では、日本でもようやく、なるべくメタルフリー、つまり金属以外のなるべく害の少ない材質をつかって歯を修復しようという流れにはなってきています。
しかし、保険制度はその源泉のお金が常時不足しているため、なかなかそれに追いついてはくれていないのが現状です。
一度体に吸収されてしまった金属はなかなか対外に排泄はされません。また、一度被せ物や詰め物をしてしまうと、改めて作り直すときにはまた歯を削らなくてはなりません。
歯科で詰め物や被せ物を作られるときは、将来のご自身のお体のことも考えて材質をお選びください。
一度体内に取り込まれた金属は
取り出すことが難しいのです。
今年も地域貢献と自分の勉強の為、香川大学病院で行われた口腔がん検診の検診医をやらせていただきました。
去年、初めてのがん検診と、口腔がんについての記事を書いてはや一年、最近は時の流れが異常に早く感じます・・・。
去年書いた記事を読み返してみると、(バックナンバーをお持ちの方はぜひ読み返して見てください(笑))外気温2.5度で暖房が効くのを待ちながら、上着を羽織って記事を書いていたようです・・・(涙)診療室でも寒かったためヒートテックを2枚がさねで着ながら頑張っていたそうです。
ちなみに今年はというと、みなさんもご存知のように、去年を遥かに凌ぐ寒さで、何年もまともに降ったことがない香川で、2回も積もるほどの雪を経験し、そんな中、年末に部屋の暖房は壊れ、急遽付け替える羽目になり、何日も暖房なしで過ごさなくてはいけなくなり、あまりの寒さにヒートテックをついに3枚がさねにするという英断を下すも、診療するときに袖まくりすると、3枚分なんで分厚くなって締め付けられて、腕の血流が止まりそうになり、結局2枚重ねが限界だったと知ったりと、去年以上に寒さに苦しめられています。
いろんな意味で早く春が来て欲しいものです(笑)
さて今年のがん検診ですが、松井教授を始めとする香川大学の先生方と、私たち外部から参加するがんセミナーの修了者とで検診医をさせていただき、事前に申し込まれていた香川県の県民の方100名以上を拝見させていただきました。
今年は当医院に通院されている患者様も申し込まれていて、偶然にも渡しが拝見することができました。もちろんその後ガン専門医の先生によるダブルチェックはうけていただき、どちらの診断もガンは見当たらないという結果でした。
その他にも、参加された県民の方の多くは何かしらお口の中に出来物が出来ていたり、痛かったり、気になることがある方でしたが、今年も幸いなことにがんと診断された方は1人もいらっしゃいませんでした。
それではやりがいがなかったのでは?、そんなに見つからないならがん検診なんか毎年しないでもいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、そんなことは決してありません。
以前私が書かせていただいたニュースレターの「口腔がんについて」でもお書きしましたが、(これまたバックナンバーをお持ちの方はまた読み直してみてください!!こっちはかなり真面目に書きましたので(笑)お持ちでない方はぜひ受付やスタッフにお問い合わせください)
口の中にできるガンは全ガンのうち1パーセントほどと言われています。
しかしこの口腔がんはどんどん増え続けている病気でもあり、40年ほどで4倍近くになり、また、死亡率も30年前に比べると2倍以上になっている、決して侮れない病気なのです。
しかし、この口腔がん、その多くを占める「扁平上皮癌」は早期発見さえできたら100%近く治すことが可能な病気でもあるのです。
普段自分の口の中になど興味がなかった方が、偶然目にしたがん検診の記事を見て、
「口の中にもガンってできるんか!!」と知ってもらえただけで、そして自分の口の中に興味を持って、鏡で見てくれただけでも、ひょっとしたら早期発見の糸口になるかもしれないのです。
そして、そんな方々が「せっかくタダなんだし」ぐらいのノリでもいいので、検診に参加していただけて、その中からわずかでも将来ガンに変化する可能性のある病変を見つけられたなら(このような状態の方は今回もいました)、その方はきっとその後そこを注意して毎日鏡で見るでしょう。そこがそれ以上悪くならなかったとして、ほかに何かができてもきっと早く気づいてくださるでしょう。
病気であること、ガンであることを見つけ出すだけが検診ではないのです。
今はできていない、または今はまだそこまでではないが将来注意が必要だよ!ということをお知らせするのも検診の大事な側面だと私は思います。
おそらく来年からも毎年この検診は続いていくと思います。興味のある方はぜひ受けられてみてください。無料で、しかも教授の講義も受けられます(笑)私もできる限りまた参加させていただきたいと思います。
今回登場していただく患者様は、当医院で矯正治療を行われ、それをきっかけに歯科の世界に興味を持って、なんと広島大学の歯学部衛生士学科に入学、私のかわいい後輩となってくれた石川美紅さんです。 今回は広島大学の先輩後輩ということもあって、マネージャー、カウンセラーに代わり、私新枝がインタビュアーをさせていただきました。
美紅さんが矯正を初めたのは中学二年生の頃、前歯が斜めになっていることにお母様と気がつき、それまで通っていた歯医者さんで矯正治療についてご相談されたのがきっかけでした。
しかしその歯医者でくだされた診断は、糸切り歯を2本抜いて歯を並べる、「抜歯矯正」でした。
「大事な歯をまだ綺麗なのに2本も抜くなんて!!」
とショックを受けられ、なんとか他の治療法はないかとインターネットで様々な病院を検索されたそうです。その中でヒットしたのが当医院の「非抜歯矯正治療」でした。
お母様と一緒に受診され、当医院で治療された方の症例や、院長から、「歯は28本全部揃って1つの家族、誰ひとり欠けても本当の機能や力は出せないんだよ。
その影響は口だけじゃなくて体のいろんな所にまで影響するんだ。」と聞いて、ここでの治療を決心されたそうです。
当医院での治療を終えられた今、これまでの感想をお聞きすると、
「矯正治療中は、舌側に入れる装置の違和感やしゃべりにくさに苦労はあったけれど、終わった今は抜歯せずに済んで本当に良かった。周りの同級生もいっぱい矯正していたけれど、皆どこかしらの歯を抜いてたから。」
お母様も
「見た目もが全然変わって、歯を見せて堂々と笑えるいい笑顔になった」
とお話されていました。
「非抜歯矯正」は技術的にとても難易度が高いため、ほとんどの歯科医院では行われていないのが実情です。
そのため「抜歯矯正」は矯正治療では主流であり、他医院で下された診断や治療方針も決して誤った物ではありませんが、今回このお二人が抜かずに治療できた結果にご満足頂けてた事に、お話をうかがっている私もとっても嬉しく思いました。
しかもこの治療中に、院長からいろんな話を聞いて、歯の大切さ、奥ぶかさを知り、また、自分の治療経験から患者さんの痛みや苦労もわかるので、それを活かせる仕事に就きたいと、歯科の道を志すようになり、見事国立広島大学の歯学部衛生士学科に合格、今は広島の大学病院で充実した毎日を過ごしているそうです。
高校の先生からは、医療系なら看護師もいいんじゃないかと勧められたそうですが、あまり病気をしないので医者や看護師には馴染みがなく、ずっと通って馴染みがある歯科衛生士になりたいと初志を貫徹されました。
その入試の時も、提出する志望動機や、面接でご自身の経験や院長から学んだことが大いに役に立ったそうです。
広島大学では、私の時もそうでしたが、歯科だからといって口しか診ないような医療者になるな、医者や看護師に負けないくらい全身に対しても造詣を深く持ちなさいという教育を受け、幅広い目で患者さんを診れる衛生士になるべく日々頑張っていらっしゃいます。
最後に美紅さんからこれから矯正を考えている方へ、また歯科を目指される方へのメッセージをいただきました。
「矯正は、歯を動かしだしたはじめの数日は大変だけど1週間もしたらなれるから大丈夫。最終的にはきっとやってよかったと思えるし、私のように見た目だけじゃなく人生も変わることだってある素敵な治療です。頑張っただけの価値はきっとあるので頑張ってください。
歯科の勉強では、お互いに学生同士で治療する相互実習で個人差というものを実感しました。
一人一人みんなお口の中や見え方は違って、自分の口に自信が持てない人は、笑うときに手で口を隠す方もいる。そんな人が自信を持って堂々と笑えるようになるお手伝いができるやりがいのある仕事です。やってみて損はないと思いますよ。」
インタビュー中もずっと素敵な笑顔を見せてくれていた美紅さん。
こんな風に感じてくださって、いい方向に人生が変わったと思っていただけるなら、そして私たちと同じ世界を目指してくれるなんて、本当に歯科医師冥利に尽きます。
願わくば第2第3の美紅さんが現れてくれるよう、これからも全力で治療に当たらせていただきたいと感じました。
そして、九州大学出身の院長は怒るかもしれませんが、もし歯科の道を志されるなら是非広島大学へ!!もしお考えならいつでも相談に乗りますので、私の後輩になってください(笑)
経験と知識
今...昼休みです。時間的には...(T ^ T)
ゆったりとした時間のなか、優雅に昼ごはんを食べています...みんなは...(T ^ T)
そんな中、私はお弁当を5分で切り上げ、パソコンないからiPhoneで、昼休みの残り時間と戦いながらこれを書いています(/ _ ; )iPhoneのタッチパネルがこれ程もどかしく感じたのは初めてです(笑)
今日は11月の終わり頃、きっとこの原稿は12月号に載る事になるんだと思います。今日が、原稿〆切日なので今がんばってるのですが、別に私が〆切に遅れたり、忘れてたわけではありません。めちゃくちゃがんばっで書いた「歯周病ってなんだろう」という記事が、めでたく(?)本文に昇格いたしまして、コラム用のがまた別に必要になってしまったのです。
前回書いた抗生物質の記事が、たくさんの患者様に呼んでいただけて、診療中に「こないだの記事みたよ~あんなこと知らなかった。薬で途中でやめたらダメなんだね。」と声をかけてくださる方もいらして、とても嬉しかったので、今回の超大作(笑)「歯周病ってなんだろう」もたくさんの方から読んでいただけたらこないだ4時間近くがんばった甲斐も、今日お昼にタッチパネルを連打しまくっている苦労も報われます(笑)
となが~い前置きはここまでにして、今回のコラムのテーマは「知識と経験」についてです。
歯医者という職業はなるまでに大学である程度のベーシックな知識は学びますが、実際それだけでは日々の診療を行うにはまるで足らず、診療をしながら患者様から得させていただく経験と、勉強会や書物などから自分自分で学ぶ知識とをバランスよく摂取し続けなくてはなりません。
私も及ばずながら、日々の診療で経験を得ながら、足りない知識を香川大学の勉強会に参加したり、矯正の講習会に行ってみたり、色んな教科書を読んで補っています。
そんな中、私は最近、審美歯科学会という、歯やお口、ひいては笑顔を綺麗にできる勉強をする学会に入会したのと、矯正の勉強会に参加し始めたのでそれらに関する専門書を何冊かよみふけっていたのですが、その中に、聞き覚えのあることがいくつか載っていてビックリしました。
それは、「噛める位置と噛みたい位置を同じにしてあげることが、長い目で見て体にも、顎にも、歯にも負担が少ない、その人に合った状態である。」(実際にはもっと専門用語連発で、根拠となる論文や写真なんかも載ってました。)
とか、
「歯や噛み合わせがきちんとしていたら、噛むことによる衝撃は頭のてっぺんに行って、脳などに影響を及ぼさないが、歯の向きや並び方、噛み合わせがわるいと、その衝撃は頭痛やめまいをはじめとする様々な不具合を及ぼす。」(これまた本には難し~く書いていました(^_^;))
といったことでした。
私は院長がいつも患者様に説明する時に、「歯の並んでる位置と噛みたい位置が違うね~」とか、「噛み合わせと全身への影響はね~」といった話をしているのを毎日のように聞いているので、すんなり受け入れられましたが、こんな話は大学では全く習うことはなく、多くの先生は聞けばビックリするかもしれないような内容だったかもしれません。
それだけ高度で、歯だけの知識ではなく、顎や全身までの総合した知識を必要とする話でしたが、僕がビックリしたのは、院長はそれらと同じ答えを、これらの本などを読んだわけではなく、それ以外の色んな勉強や経験から自分で発見して話していたと言う事でした。
日々の診療を適当にこなしたり、勉強をおざなりにしていては、決してたどり着けない答えです。
同時に、そういった研究をされている先生方も、臨床の第一線で働いている院長も道は違えどたどり着いた答えは同じであった事にも驚きました。
私もまだまだ歯科医師として成長過程ですが、日々の経験も知識もしっかり蓄えて、院長のような高く広いレベルで診療を行えるようがんばっていきたいと思います。
とある友人の歯科医師の最近の体験談です。
自宅のマンションのエレベーターに乗っていると、40歳くらいの男女が乗ってきたそうです。
友人とその男女は面識がなく、もちろん向こうも友人が歯科医師だとは知りません。
あの狭い空間特有の、知らない人同士の気まずい沈黙が少しあった後、男女が会話し始めました。
男「最近歯が痛くてな」
女「え~そうなんだ。虫歯かな?」
男「虫歯かもな~。1年くらい様子見て、痛かったら歯医者行くか。」
女「うん。そうしなよ!!」
そうしてあっけにとられる友人(歯科医師)を残して、エレベーターを降りて行ったそうです。
・
・・皆様はここまでのお話をお読みになって、どう感じられましたでしょうか?
・
「いやいや1年って!!今すぐ歯医者行きなよ!!」思われた方
「? 普通でしょ?いったいこの話は何がいいたいの?」と思われた方
「歯が痛いくらいでガタガタいうな!!女にそんな泣き言いうなんて情けない!!男は黙って我慢だ!!根性だ!!!」と思われた方・・・(笑)
きっと皆さんそれぞれ様々なとらえ方をされたでしょう。
歯医者の私からすると、できることなら、せめてこのうちのースレターの読者様だけでも、1番目のように思われた方が多いことを心から願いますが、我々歯科医師からすると驚くべきことに、そして一般の方々からすると意外と変なわけでもなく、2番目のような考え方の方はたくさんいらっしゃるようです。
歯というものは多くの方で、一般に、大人の歯なら28本、親知らずを入れて32本、皆さんお持ちです。
子供の歯から生え変わるため、子供の歯の時にあった小さい虫歯くらいなら、大人の歯になるときにある意味リセットがきいてしまいます。
そして、1本や2本抜けても、いきなりはそんなに食事に影響は出ないことが多いです。
また、大人になると、仕事や育児などで学生や子供の時のように自由には時間がとりづらくもなり、ちょっとの事では中々病院に行くのも大変にはなります。
そういった中で、なんとなく歯は、またリセットがきくんじゃないか、1本や2本たいした問題じゃないじゃないか、だって忙しいし・・・と軽視されやすいのかもしれません。
冒頭の男女の会話もこういった中から発せられたものだったのかもしれません。
しかし私たちは毎日診させていただいています。
多くの歯を失って入れ歯で困ってらっしゃる患者さんを。
そして知っています。
その方々もいきなりそうなったのではないということを。
初めは1本の虫歯や親知らずから、少しづつ、しかし確実に、院長がよく言う「ドミノ倒し」のように、歯を失い、噛めなくなっていったのだということを。
「痛み」は体が教えてくれている警告で、大切なサインです。
これは根性で耐えにゃならんものではなく(笑)耳を傾けてあげるべきものです。
実際には食べかすが詰まって歯茎が腫れただけかもしれません。
ちょっとしっかり歯磨きしたら治る程度のものかも。
しかし、それでも、その痛みは「放置し続けたら大変だよ」という充分重要なサインなのです。
その先にある大事に陥らない為にも、素直に聞いてあげてください。
その解釈は私たちがお手伝いします。
冒頭の男性が、1年放置しないで、大事にならないことを友人の歯科医ともども祈っています。
こんにちは
吉本歯科医院の歯科医師、新枝です。
みなさんは どこかの歯が痛くなってしまい、歯医者に行く、ないしは歯医者に行かなくちゃならなくなった、という時、どんな気持ちになりますか?
まあまず「やったー楽しみ~」ってかたはいらっしゃらないでしょうね(笑)残念ですが・・・。
「憂鬱だな~。この痛いの虫歯かな~?」とか
「抜かなきゃいけないって言われたらどうしよう・・・」とか
「ほかにも悪いところ見つかったらどうしよう」とか
「歯医者さんに行ったらまた痛い事されるんだろな・・・(涙)」etc....
どれもこれも、基本ネガティブな事ばっかりではないでしょうか?
普通の風邪をひいたときや、おなか壊して内科などの病院に行く時は、皆さん多分ここまではネガティブな事を考えないんじゃないでしょうか。
きっともっと軽い感じの気持ちで「ちょっと病院行ってくるわ~」ってなりません??
前回の「痛みの解釈」のお話とちょっと関係あるかもしれませんが、
・・・今回はなんでこんなに歯医者さんって怖いんだろう?という事についてちょっと考えてみようと思います。
歯医者をやっていると、時々抜かざるをえないようなとても大きい虫歯を何本も抱えられた患者さんを診させていただくことがあります。
ここまでの状態になるまでには、きっと、「ちょっとしみるな~」くらいから始まって、「なんか噛んだら痛いぞ?」→「心臓の鼓動に合わせるかのようにズキズキする!!!」「夜も痛くて眠れない!!!」といったような状態を、一本の歯につき一度は経ているはずです。
その後は、「痛みがなくなったぞ?治ったのか??穴はあいているけど・・・」とか、「なんか食べたらガリっていった!?歯が欠けちゃった???」「あれ?一回治ったと思っていたけど、またすっごく根っこの辺りが痛くなってきた(涙)」などといった、その次のステージへと進んでいき、そのどこかで来院する決心をしていただけたのだと思いますが。
これらは何が起こっているかというと、
① ばい菌や噛み合わせ、親知らずなどと言った原因から、まず歯の表面の硬いところ、「エナメル質」に穴が開き始め、
② 神経に近い「象牙質」が見えてきてしまったために、冷たいものなどの刺激が神経に伝わりやすくなってしみてきて、
③ さらにその穴が大きく、深くなって、ばい菌が神経にまで達してしまい、ズキズキした痛みになって、
④ 神経が死んでしまい、一時的に痛みを感じなくなって(これで治ったと思われる方も
⑤ 神経が死んで、歯が枯れ木のように弱くなって欠けたり、根っこの先からさらに菌が侵攻して、骨まで溶かし始めて更なる激痛を生む
といった恐怖のシナリオが進んで行ったという事です。
歯の痛みは、むかしは拷問に使われていたぐらい、とっても痛くて、耐えがたいものですが、にもかかわらず、ここまで我慢してでも歯医者に行きたくない理由ってなんでしょう?
こういう患者さんの初診時のカウンセリングの記録を拝見すると、結構な確率で、
「過去に歯医者さんに行って痛かった、痛かったのにやめてくれなかった」
「歯科恐怖症、とにかく痛いのが怖い」
とおっしゃられている事が多いです。
内科などとの違いは、やはり「痛そうだから怖い」という歯医者さんのイメージや、過去のトラウマによるものが多いのでしょう。
そして、そう言われていたという記載を見ると、正直僕は結構燃えます。
矯正などで歯を動かす痛みなどといった、特殊なものを除き、虫歯が原因で治療するときに痛いかどうかは、麻酔が痛くないか、そしてしっかり効くか否か、これが全てと言って過言ではありません。
私たち吉本歯科医院では私ががほとんどの麻酔を担当させていただいていて、コンピューター制御の麻酔器を片手に、吉本院長直伝の極力痛みの出にくい麻酔の打ち方を実践させていただいています。
すべての患者さんに対してそうですが、特に歯科恐怖症の方には、帰りに「全然痛くなかった!!」と言わせてやるぞ!!と勝手にこっそり意気込んでいます(笑)
麻酔も中々に奥が深く、熟練もいる技術ですが、こうやって勝手に意気込んでいるせいか、ここ半年くらいで、「思ってたのと全然違った」とか、「こんなに痛くないならもっと早く来ればよかった」といったご感想をいただくことがとても増えてきました。
歯医者冥利に尽きることですが、逆に「吉本歯科のせいで歯医者に行くのが怖くなって、こんなになるまで行かなかったんだ」というような患者さんを僕が生み出してしまわないよう、これからも意気込んでいきたいと思います。
皆さんも周りにもし、こんな患者様がいらしたら、ぜひ一度この話をしてあげてください。
手遅れになる前に救ってあげられたら、そしてそういった方の歯医者に対する怖いイメージを変えてあげられたら私も嬉しいです。