
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「この年でインプラントというのは、さすがに遅いでしょうか」
「70歳を過ぎています。今から手術を受けても意味があるのか分かりません」
「息子にはすすめられるのですが、自分ではもう無理だと思っています」
このようなお話を、診療室でよくお聞きします。そのほとんどの方が「年齢で決まる」とお考えになっています。しかし実際に拝見していて感じるのは、結果を分けているのは年齢そのものではなく、お口の中の条件のほうだということです。今回は、年齢よりも先に確かめておきたい3つのことを、順を追ってご説明します。
年齢そのものよりも、確かめておきたいことがあります
インプラントは、歯を失ったところの骨に土台を埋め、その上に人工の歯を作る治療です。ご自身の歯のように骨に支えられるため、入れ歯のように歯ぐきの上に乗せる装置とは、力の受け方が異なります。
この治療がうまくいくかどうかを左右するのは、暦の上の年齢ではありません。骨がどれだけ残っているか、噛み合わせがどうなっているか、そして全身の状態がどうか、といった条件です。
実際、60代・70代でこの治療を選ばれる方は珍しくありません。逆に、年齢がお若くても条件が整っていなければ、そのままでは難しいこともあります。
1つめ ── 歯を支えている骨が、どれだけ残っているか

まず確かめるのは、歯を支えている骨の量です。
歯が抜けた場所の骨は、噛む刺激が伝わらなくなるため、少しずつやせていきます。抜けたまま長く経っている場所ほど、この変化が進んでいることがあります。
- 骨の高さ ── 土台を埋めるだけの深さがあるか
- 骨の幅 ── 土台を囲むだけの厚みがあるか
- 骨の質 ── 硬さや密度に問題がないか
- 上顎洞や神経との位置関係 ── 安全に処置できる距離があるか
これらはレントゲンの平面写真だけでは分かりません。立体的に確かめる必要がありますので、3DデジタルCTでの撮影をご提案しています。「骨が少ないから無理」と言われた方でも、実際に立体で見ると条件が違っていることがあります。
2つめ ── 上下の顎が、いまどの位置で噛んでいるか

次に確かめるのが顎の位置です。ここは、あまり語られないところですが、当院がもっとも重視している点です。
インプラントは、埋めて終わりではありません。その上に作る歯が、上下の顎のどの位置で噛み合うのかによって、そこにかかる力が決まります。
長く歯を失ったままでいた方、入れ歯を使ってこられた方では、噛み合わせの基準そのものが変わっていることがあります。基準がずれたまま土台の位置を決めると、無理のある方向から力を受け続けることになります。
年齢を重ねるほど、この確認は大切になります。それまでの年月の分だけ、口の中は変化しているからです。
3つめ ── 残っている歯に、どれだけ力が集まっているか

3つめは、残っている歯にどれだけ力が集まっているか、です。
歯を失った理由が、むし歯や歯周病だけとは限りません。噛む力が一部に集中し、そこから壊れていくという経過をたどってこられた方もいらっしゃいます。
この場合、力の配分を変えないまま新しい歯を入れると、次はその歯に力が集まります。せっかく入れたところから、また同じことが起こりかねません。
ですから当院では、失った場所をどう埋めるかより先に、力をどう配り直すかを考えます。ここが決まらないうちは、本数や位置の話には進みません。
全身の状態は、年齢とは別に確認します
骨や噛み合わせとは別に、全身の状態も確認します。持病がある、常用しているお薬がある、という場合には、その内容によって進め方が変わります。
- 血糖のコントロール状況
- 血液をさらさらにするお薬の服用
- 骨粗鬆症のお薬の服用
- 喫煙の習慣
これらは年齢とは別の要素です。該当するからといって、ただちにできないという意味ではありません。かかりつけの先生と連携しながら、安全に進められる条件を整えていきます。まずは正確にお聞かせいただくことが大切です。
「もう年だから」と迷われている方へ
「もう年だから、我慢すればいい」とおっしゃる方は多くいらっしゃいます。
ただ、噛めないまま過ごす年月にも、積み重なるものがあります。噛める側だけで噛むようになると、そちら側に力が集まります。食べられるものが限られてくると、食事そのものが楽しくなくなります。
どの方法を選ぶかは、条件を確かめたうえで決めることです。ご自身で先に「無理だろう」と結論を出してしまう前に、いまどういう状態なのかだけでも知っておいていただきたいと思います。
当院がインプラントのご相談で咬み合わせから診る理由
当院は補綴(ほてつ)と咬み合わせを専門としています。インプラントのご相談であっても、埋める場所の話より先に、お口全体で力がどう配られているのかを確認します。
土台そのものは、条件が整っていれば骨と結びつきます。その後に問題が起きるとすれば、多くは上に作った歯にかかる力の側です。長く使っていただくために、ここを最初に整えておく必要があると考えています。
こんな方は、一度ご相談ください
- 年齢を理由に、治療をあきらめようとしている
- 他院で「骨が少ないので難しい」と言われた
- 抜けたままの場所が長く、そのままになっている
- 入れ歯が合わず、他の方法があるのか知りたい
- 持病やお薬があり、受けられるかどうか分からない
- 噛める側だけで噛むようになり、食べられるものが減った
- 手術のことが不安で、相談に行けずにいる
ひとつでも当てはまる場合、判断の材料がまだ揃っていない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ この治療の可否を分けているのは暦の年齢ではなく、お口の中と全身の条件です。
✅ 骨の高さ・幅・質と、周囲の構造との位置関係を、立体的に確認する必要があります。
✅ 上下の顎がどの位置で噛むかによって、そこにかかる力が決まります。
✅ 残っている歯への力の集まり方を整えないと、同じ経過を繰り返すことがあります。
✅ 持病やお薬は年齢とは別の要素で、内容を正確に把握したうえで進め方を考えます。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 何歳までなら受けられる、という上限はありますか
A. 年齢だけで区切る基準はありません。骨の状態、噛み合わせ、全身の状態を確かめたうえで判断します。80代の方が選ばれることもあれば、年齢がお若くても条件を整えてからになることもあります。
Q2. 骨が少ないと言われました。もうできないということでしょうか
A. 平面のレントゲンだけで判断されている場合、立体で見ると条件が違って見えることがあります。また、骨の状態に応じた進め方もあります。まずは今の骨の状態を正確に確認するところからです。立体的に見る必要があると判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案します。
Q3. 手術は痛いのでしょうか。入院が必要ですか
A. 局所麻酔で行い、通院で受けていただくのが基本です。痛みが出にくいよう配慮した方法をとっています。処置後の腫れや違和感の程度は、範囲や骨の状態によって差がありますので、事前にご説明します。
Q4. 費用や治療期間はどのくらいかかりますか
A. 自費診療にあたり、本数や骨の状態によって異なります。期間も、骨と土台が結びつくのを待つ時間が必要なため、数か月単位でお考えいただくことになります。検査で条件が分かった段階で、費用と期間、想定される危険性を書面でご説明します。
Q5. 相談に行ったら、その場で手術をすすめられませんか
A. いいえ。まず検査を行い、いま何が起きているのかをご説明します。インプラントが最適とは限りませんし、ご希望でなければ他の方法もご一緒に考えます。判断はご自宅でゆっくりお考えいただいて構いません。
インプラントを迷っておられる方へ
「年齢のことが引っかかって、相談に行けずにいました」
「あと10年か15年、自分の力で食べられたらいいのです」
こうしたお気持ちで来院される方に、当院ではまず現状をお見せすることから始めます。咬み合わせの専門的な視点から、どこにどれだけ力が集まっているのかを評価します。骨の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込。エックス線を用いるため、ごくわずかですが被ばくがあります)。院長は(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医、(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医として、咬み合わせと補綴の分野の診療にあたっております。
何が起きているのかをご説明したうえで、選べる方法をご提示します。年齢を理由にあきらめてしまわれる前に、いまの状態を知っておいていただきたいと思います。どうぞお一人で悩まずに、お電話またはWEBよりお気軽にご相談ください。

院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。



