
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「新しい入れ歯を入れて3か月経ちますが、いまだに慣れません」
「慣れるまで我慢するように言われ、それ以上聞けませんでした」
「痛いところを削ってもらうと、今度は別の場所が痛くなります」
このようなお悩みで来院される方が、当院には少なくありません。そして、そのほとんどの方が「慣れられない自分に問題があるのではないか」とお考えになっています。しかし実際に拝見すると、慣れて解決する違和感と、待っても解決しない違和感は、はっきり別のものであることがほとんどです。
今回は、その2つをどう見分けるのかをご説明します。
目次
- たしかに「慣れ」が必要な部分はあります
- 一方、待っても解決しない違和感があります
- 「痛む場所が移動する」は、はっきりしたサインです
- なぜ、そういうことが起きるのか
- 見分けの目安
- 我慢を続けている間に進むこと
- 当院が「慣れない」というご相談で最初に診るところ
- こんな方は一度ご相談ください
- この記事のまとめ
- よくあるご質問(FAQ)
- 入れ歯に慣れずにお困りの方へ
たしかに「慣れ」が必要な部分はあります
口の中は、体の中でもとりわけ感覚の細かい場所です。髪の毛1本が入っただけで分かります。そこへ、それまでなかったものが入るのですから、はじめは違和感があって当然です。次のようなものは、時間の経過とともに落ち着いていくことが多いものです。
- 口の中に物が入っている感じ(異物感)
- サ行・タ行が言いにくい
- 唾液がいつもより多く出る
- 舌の置き場所が定まらない
- 食べ物の温度が伝わりにくい
これらは、脳と舌が新しい形を覚えていく過程で薄れていきます。個人差はありますが、数週間から2か月ほどで落ち着いてくる方が多いところです。
一方、待っても解決しない違和感があります
次のものは、時間が経てば慣れる、という種類のものではありません。
- 決まった場所が、いつも同じように痛む
- 削ってもらうと、今度は別の場所が痛くなる
- 噛むと入れ歯が動く、浮く、外れる
- 食事のたびに、入れ歯の下に食べ物が入り込む
- 噛んだときに、左右のどちらかが先に当たる感じがする
- 食後に顎が疲れる
- 入れ歯を外すと楽になる
これらは、口の中で何かが合っていないという知らせです。知らせが出ているのに慣れようとすれば、我慢しているあいだ負担はかかり続けます。
「痛む場所が移動する」は、はっきりしたサインです

とくにお伝えしたいのがこれです。
当たって痛い場所を削ると、その場所は楽になります。ところが数日すると、今度は別のところが痛くなる。これを何度か繰り返している方は少なくありません。
このとき起きているのは、次のことです。噛む力の総量は変わっていません。一か所を逃がせば、その力は必ずどこかへ回ります。削っているのは痛みの出口であって、力そのものではないのです。
ですから、痛む場所が移動しているうちは、何度削っても終わりません。原因は入れ歯の表面ではなく、力のかかり方の側にあります。
なぜ、そういうことが起きるのか
入れ歯は歯ぐきの上に乗っているだけの装置です。噛む力は、歯ではなく歯ぐきと、その下の骨で受け止めることになります。
このとき、次の条件がそろっていないと、力は一部に集中します。
- 歯ぐきの土手(顎堤/がくてい)の形が保たれていること
- 入れ歯の内面が、土手にすき間なく合っていること
- 上下の入れ歯が、正しい位置で噛み合っていること
- 顎が本来の位置で閉じられていること
このうち、いちばん見落とされやすいのが最後の2つです。長く歯を失ったまま過ごされた方では、顎の閉じる位置そのものがずれていることがあります。ずれた位置に合わせて入れ歯を作れば、当たり方も偏ります。
見分けの目安
ご自身で確かめていただける目安を挙げます。
慣れを待ってよい可能性が高いもの
- 違和感が、日ごとに少しずつ薄れてきている
- しゃべりにくさが、以前より減ってきた
- 痛む場所が、はっきりとは決まっていない
確かめたほうがよいもの
- 同じ場所が、2か月以上同じように痛む
- 削るたびに痛む場所が変わる
- 噛むときにしか痛まない(外していれば痛くない)
- 食事の量が減った、やわらかいものばかりになった
- 入れ歯を入れてから、顔まわりが疲れるようになった
我慢を続けている間に進むこと
痛みを我慢して使い続けると、その場所には力がかかり続けます。歯ぐきの下の土手は、強く押され続けると吸収が進みます。土手が痩せれば、入れ歯はさらに動き、当たり方はもっと偏ります。
つまり、慣れようと頑張るほど、条件は悪くなっていきます。これは根性の問題ではありません。
早い段階で原因が分かるほど、選べる方法は多く残ります。
当院が「慣れない」というご相談で最初に診るところ
吉本歯科医院では、痛いところをその場で削って終わり、ということはいたしません。順序があります。
1. どこが、どんなときに痛むのかを伺います
噛んだときだけか、入れていれば常にか。場所は変わるのか。ここで多くのことが分かります。
2. 土手と骨の状態を確認します
レントゲンで、支えている骨がどれだけ残っているかを確認します。骨の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込。エックス線を用いるため、ごくわずかですが被ばくがあります)。
3. 今、どこで噛んでいるかを調べます
顎が本来の位置で閉じられているか。当たる順番はどうか。ここが、痛む場所が移動する理由につながります。
4. そのうえで、何が起きているのかをご説明します
次に何を作るかを決めるのではなく、なぜこうなったのかを先に明らかにします。遠回りに見えて、これが一番の近道です。
こんな方は一度ご相談ください
- 新しい入れ歯を入れて2か月以上経つが、同じ場所が痛む
- 削ってもらうたびに、痛む場所が変わる
- 噛むと入れ歯が動く、浮く
- 食事のたびに、入れ歯の下に食べ物が入る
- 食後に顎が疲れる
- 「慣れるしかない」と言われて、それ以上相談できていない
- 食事の量が減った、外食をしなくなった
ひとつでも当てはまる場合、それは慣れの問題ではない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 異物感やしゃべりにくさは、時間とともに薄れていくことが多いものです
✅ 決まった場所の痛み、動く、食べ物が入る、といった症状は待っても解決しません
✅ 削るたびに痛む場所が変わるのは、力の出口を移しているだけだからです
✅ 我慢して使い続けると、土手の吸収が進み、条件はさらに悪くなります
✅ 慣れの問題かどうかは、噛む位置と土手の状態を確かめれば分かります
よくあるご質問(FAQ)
Q1. どれくらいで慣れるのが普通ですか
A. 異物感やしゃべりにくさであれば、数週間から2か月ほどで薄れてくる方が多いところです。それを過ぎても同じ場所が痛む場合は、慣れとは別の理由を考えます。
Q2. 作ってもらった歯科医院に、もう一度相談したほうがよいでしょうか
A. まずはそれで構いません。当時の判断としては一般的な処置だったと思われますし、経過をご存じなのは大きな利点です。それでも変わらない場合に、別の目で診てもらうという選択があります。
Q3. 我慢して使っていれば、そのうち体が合わせてくれませんか
A. 異物感は薄れますが、力の偏りは体が合わせてくれるものではありません。むしろ我慢している間、土手への負担は続きます。
Q4. 今の入れ歯は、もう使えないということでしょうか
A. そうとは限りません。ただ、それを判断するには、なぜ合っていないのかを先に確かめる必要があります。装置の話は、その後になります。
Q5. 相談だけでも診てもらえますか
A. もちろんです。今お使いの入れ歯をそのままお持ちください。どこがどう当たっているかを拝見することが、診断の材料になります。
入れ歯に慣れずにお困りの方へ
「自分の我慢が足りないのだと思っていました」
「これ以上どこに相談すればよいのか、分からなくなってしまった」
香川県高松市をはじめ、四国各地から、入れ歯と咬み合わせのお悩みを抱えた多くの患者様が当院にご相談にいらっしゃいます。
吉本歯科医院では、目に見える入れ歯だけを調整して終わりにするのではなく、「なぜこうなったのか」「なぜその歯を失うことになったのか」「これから先、噛む力をどう配分すれば残りの歯を守れるのか」という根本から診断を行います。院長は(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医、および(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医として、咬み合わせと補綴の分野で専門的な診療にあたっております。
咬み合わせの専門的な視点から、土手と残っている歯にかかる力のバランスを評価します。骨の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込。エックス線を用いるため、ごくわずかですが被ばくがあります)。
我慢は、もうなさらなくて大丈夫です。どうぞお一人で悩まずに、お電話またはWEBよりお気軽にご相談ください。

院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。


