
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「歯並びは悪くないと言われるのに、なぜか噛みにくいのです」
「矯正をして見た目は整ったのに、食事がしづらくなりました」
「どこも悪くないと言われますが、しっくりこない感じが続いています」
このようなお悩みで来院される方が、当院には少なくありません。そして、そのほとんどの方が「歯並びが整っている=咬み合わせがよい」とお考えになっています。しかし実際に拝見すると、この2つは別のことを指す言葉であり、片方が整っていても、もう片方が合っていないケースが少なくありません。
今回は、歯並びと咬み合わせの違い、そして「きれいなのに噛みにくい」ときに口の中で何が起きているのかをご説明します。
目次
- 「歯並び」と「咬み合わせ」は、別のことを指しています
- 正面から見て整っていても、上下の関係は別です
- 噛むという動作は、静止した状態ではありません
- どこか1本が先に当たると、何が起きるか
- 顎を横に動かしたときの「案内役」
- 見た目を整える治療だけでは、届かないところがあります
- 当院が「噛みにくい」というご相談で診るところ
- こんな方は一度ご相談ください
- この記事のまとめ
- よくあるご質問(FAQ)
- 噛みにくさが続いている方へ
「歯並び」と「咬み合わせ」は、別のことを指しています

言葉の整理から始めます。
- 歯並び ── 歯が横に並んでいる形。主に正面から見た、静止した状態の配列
- 咬み合わせ ── 上下の歯が接触する関係。噛む、すり合わせる、という動きを含んだもの
鏡で見て確認できるのは前者です。写真に写るのも前者です。一方、後者は動きの中にあるため、見ただけでは分かりません。
ですから「歯並びはきれい」と言われることと、「噛みやすい」ということは、必ずしも一致しないのです。
正面から見て整っていても、上下の関係は別です
上下それぞれの歯が、きれいな弧を描いて並んでいるとします。それでも、次のようなことは起こりえます。
- 上下の弧の大きさが合っておらず、当たる場所が偏っている
- 奥歯の高さがそろわず、片側が先に当たる
- 前歯だけが強く当たり、奥歯が浮いている
- 奥歯だけが当たり、前歯が届いていない
上下がそれぞれ美しく並んでいても、重ね合わせたときにぴたりと合うとは限らない。並びは、あくまで片側ずつの話だということです。
噛むという動作は、静止した状態ではありません

ここが、咬み合わせを分かりにくくしている点です。
食事のとき、顎はただ上下に動いているのではありません。前後、左右にも動きます。噛みちぎる、すりつぶす、飲み込む。それぞれで顎の位置は変わります。
つまり咬み合わせを診るということは、静止画ではなく動画を見るということです。ぐっと噛んだ一瞬だけを見ても、噛みにくさの原因は分かりません。
どこか1本が先に当たると、何が起きるか

上下の歯は、本来ほぼ同時に当たるのが望ましい状態です。ところが1本だけが先に当たると、体はそれを避けようとします。
- 当たる歯を避けて、顎を少しずらして噛むようになる
- ずれた位置で噛む癖がつき、筋肉がその位置を覚える
- ずらした先で、また別の歯に負担がかかる
- 先に当たっている歯は、揺れたり、しみたり、欠けたりし始める
ご本人の自覚としては「なんとなく噛みにくい」「しっくりこない」という言葉になります。痛みほどはっきりしないため、相談しそびれてしまう方が多いところです。
顎を横に動かしたときの「案内役」

あまり知られていないことをひとつ。
顎を左右に動かすとき、健康な状態では、犬歯(糸切り歯)のあたりが案内役を務めます。この歯が滑りを受け持つことで、他の歯は離れ、横向きの力から守られます。
ところが、犬歯がすり減っていたり、被せ物の形が変わっていたりすると、この案内が働きません。すると顎を動かすたび、奥歯が横から擦れることになります。
奥歯は上下の力には強くできていますが、横からの力には弱いのです。詰め物が外れる、歯にヒビが入る、といったことが起きやすくなります。
見た目を整える治療だけでは、届かないところがあります
歯並びを整える治療も、白い被せ物にする治療も、それぞれ意味のあるものです。ただ、どちらも主に「並び」と「見た目」に働きかけるものです。
ですから、噛みにくさが続いている場合は、そこに動きの中での当たり方という別の軸があると考えます。見た目の治療をやり直すのではなく、どこがどう当たっているかを確かめるのが先になります。
「どこも悪くない」と言われたのに違和感が続いているとすれば、それは、見られている軸が違うだけかもしれません。
当院が「噛みにくい」というご相談で診るところ
吉本歯科医院では、見た目の並びだけを見て判断することはいたしません。順序があります。
1. 噛んだときに、どの歯がどの順で当たるかを調べます
同時に当たっているのか、先に当たる歯があるのか。ここが出発点です。
2. 顎を動かしたときの滑り方を確認します
左右、前後に動かしたときに、どこが擦れているか。案内役が働いているかを確認します。
3. すでに起きている変化を確認します
すり減り、ヒビ、揺れ、しみ。レントゲンで、支えている骨の状態も確認します。骨や関節の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込。エックス線を用いるため、ごくわずかですが被ばくがあります)。
4. そのうえで、何が起きているのかをご説明します
こんな方は一度ご相談ください
- 歯並びは悪くないと言われるのに、噛みにくい
- 矯正や被せ物の治療のあと、違和感が続いている
- 噛むときに、どこかが先に当たる感じがする
- いつも同じ側でばかり噛んでいる
- 詰め物や被せ物が、繰り返し外れる
- 食後に顎が疲れる、口を開けると音がする
- 「どこも悪くない」と言われたが、納得できていない
ひとつでも当てはまる場合、原因は歯並びではなく、動きの中での当たり方にある可能性があります。
この記事のまとめ
✅「歯並び」は静止した配列、「咬み合わせ」は動きを含んだ上下の関係で、別のものです
✅ 上下それぞれがきれいに並んでいても、重ねたときに合うとは限りません
✅ 1本が先に当たると、体は顎をずらして避け、そこから別の負担が生まれます
✅ 顎を横に動かすときの案内役が失われると、奥歯が横からの力を受けます
✅ 見た目の治療とは別の軸として、当たり方を確かめる必要があります
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 矯正をすれば、咬み合わせもよくなるのではないですか
A. 並びが整うことで改善する場合もあります。ただ、並びと当たり方は別の軸ですので、整えたあとに当たり方を確認しておくことが大切です。
Q2. 噛みにくいだけで、痛みはありません。放っておいてもよいでしょうか
A. 痛みが出るころには、力が集中している歯にすでに変化が起きていることが多いものです。違和感の段階で確かめておくほうが、選べる方法は多く残ります。
Q3. 先に当たっている歯を削って調整すればよいのですか
A. 削るのは元に戻せない処置です。どこが本来の噛む位置なのかを確かめないまま削ると、ずれを固定してしまうことがあります。順序として、まず診断が先になります。
Q4. 自分で確かめる方法はありますか
A. 軽く噛んでいったとき、どこか1か所が先に当たる感じがあれば、その可能性があります。ただ、体はずれを補正して噛みますので、ご自身の感覚だけでは分かりにくいところです。
Q5. 他院で作った被せ物についても相談できますか
A. もちろんです。他院での処置を批判することはありません。咬み合わせまで含めて診る医院は多くありませんので、当時の判断としては一般的なものだったと思われます。
噛みにくさが続いている方へ
「見た目は問題ないと言われるのに、この違和感が説明できない」
「気のせいだと思うようにしてきたが、やはり気になる」
香川県高松市をはじめ、四国各地から、咬み合わせのお悩みを抱えた多くの患者様が当院にご相談にいらっしゃいます。
吉本歯科医院では、目に見える1本の処置で終わりにするのではなく、「なぜこうなったのか」「なぜその歯を失うことになったのか」「これから先、噛む力をどう配分すれば残りの歯を守れるのか」という根本から診断を行います。院長は(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医、および(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医として、咬み合わせと補綴の分野で専門的な診療にあたっております。
咬み合わせの専門的な視点から、どの歯にどう力がかかっているかを評価します。骨や関節の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込。エックス線を用いるため、ごくわずかですが被ばくがあります)。
どうぞお一人で悩まずに、お電話またはWEBよりお気軽にご相談ください。

院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。


