
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「汚れをしっかり落としたいので、硬めの歯ブラシを使っています」
「歯みがき粉は、いつも同じものを何となく選んでいます」
「丁寧に磨いているつもりなのに、歯の根元がしみるようになりました」
このようなお話を、診療室でよく伺います。そして、そのほとんどの方が「しっかり磨くこと=強く磨くこと」とお考えになっています。しかし実際に口の中を拝見すると、磨く力が強すぎて、歯ぐきと歯の根元を削ってしまっているケースが少なくありません。
今回は、歯ブラシと歯みがき粉をどう選べばよいのか、そして道具を替えても解決しない場合に何が起きているのかを、順にご説明します。
目次
- 歯ブラシは、毛の硬さより「当たる面積」で選びます
- 歯みがき粉は、パッケージの裏を見ます
- 力を入れて磨くと、歯と歯ぐきに何が起きるか
- 磨く回数より、届いているかどうかです
- 道具を替えても、へこみが進む場合があります
- 「よい道具」より「合った道具」です
- 当院がセルフケアのご相談で診るところ
- こんな方は一度ご相談ください
- この記事のまとめ
- よくあるご質問(FAQ)
- 磨き方や歯の根元のすり減りが気になる方へ
歯ブラシは、毛の硬さより「当たる面積」で選びます
売り場では「かため」「ふつう」「やわらかめ」の表示が目に入ります。まずお伝えしたいのは、かためを選ぶ理由は、ほとんどの方にはないということです。
汚れ(歯垢)は、実はやわらかいものです。強い力でこすり取る必要はありません。必要なのは、毛先が汚れのある場所に届いているかどうかです。
選ぶときに見ていただきたいのは、次の点です。
- 毛の硬さは「ふつう」か「やわらかめ」
- ヘッド(毛の付いた部分)は小さめ。奥歯の裏まで入るもの
- 毛先が細くなりすぎていないもの。細すぎる毛は歯ぐきの中に入り込みやすい
- 柄はまっすぐで、握ったときに力が入りすぎないもの
毛先が広がったら替えどきです
外側に毛が広がった歯ブラシは、毛先が歯に当たらなくなっています。1か月を目安に、広がる前でも交換してください。広がるのが早い方は、力が強すぎるというサインでもあります。
吉本歯科医院では歯ブラシはソニッケア一択でおすすめしています。理由はこちらをお読みくださいね。なぜソニッケア一択なのか?

歯みがき粉は、パッケージの裏を見ます
表側には効能がうたわれていますが、判断の材料は裏側にあります。見ていただきたいのは2点です。
1. フッ素(フッ化物)の濃度
「1450ppm」といった数字が書かれています。日本で市販されている歯みがき粉の上限がこの付近です。歯を守る目的であれば、濃度が表示されているものを選んでいただくとよいでしょう。(※1本でもインプラントが入っている方は除きます。インプラントを入れた方には専用の清掃剤が必要です)
2. 研磨剤(清掃剤)の入り方
成分表示に「研磨剤」または「清掃剤」と書かれています。着色を落とす働きがありますが、量が多いものを強い力で使うと、歯の表面や露出した根元を削ることになります。
すでに歯の根元がしみている方、歯ぐきが下がってきている方は、低研磨あるいは研磨剤無配合と書かれたものを選ばれることをお勧めします。(※1本でもインプラントが入っている方は除きます。インプラントを入れた方には専用の清掃剤が必要です)
力を入れて磨くと、歯と歯ぐきに何が起きるか
強い力で横向きにこすり続けると、歯と歯ぐきの境目に少しずつ変化が起きます。
- 歯ぐきが押し下げられ、歯の根が露出してくる
- 露出した根の表面は、歯の頭の部分より軟らかく、削れやすい
- 境目にくさび形のへこみができる
- 露出した根の内部は刺激が伝わりやすく、しみるようになる
一度削れてしまった歯は、自然には戻りません。ですから、力を抜くことは「手を抜く」ことではなく、残っているものを守ることなのです。
力の目安
歯ブラシを鉛筆のように持ち、毛先が広がらない程度。強く握りしめないだけで、かかる力はかなり変わります。
磨く回数より、届いているかどうかです
汚れが残りやすいのは、決まった場所です。
- 歯と歯の間
- 歯と歯ぐきの境目
- いちばん奥の歯の、さらに奥側
- 歯が重なっている部分
- 被せ物や詰め物のふち
ここに毛先が届いていなければ、何分磨いても同じことです。歯と歯の間は歯ブラシでは届かないため、糸ようじや歯間ブラシの助けが必要になります。
力を強くすることで届く場所は、ひとつもありません。
道具を替えても、へこみが進む場合があります
ここからが、当院がとくにお伝えしたい部分です。
歯ブラシをやわらかくし、力を抜いても、歯と歯ぐきの境目のへこみが進んでいく方がいらっしゃいます。しみる場所が増えていく方もいます。
このとき疑うのが、その歯にかかっている噛む力です。噛んだときに一部の歯だけが強く当たっていると、歯には曲げるような力が繰り返しかかります。歯の根元は構造上いちばん力の集まる場所で、そこに細かなひずみが積み重なると、表面が欠けやすくなります。

つまり、へこみの原因が歯ブラシだけとは限らないのです。磨き方を直しても変わらない場合は、力のかかり方を確かめる必要があります。
「よい道具」より「合った道具」です
歯ブラシも歯みがき粉も、万人に最適なものがあるわけではありません。歯ぐきが下がっている方と、腫れている方とでは、選ぶものが違います。
今どちらの状態にあるのかは、口の中を見ないと分かりません。売り場で迷われるより、一度確かめてから選ばれるほうが確実です。
当院がセルフケアのご相談で診るところ
吉本歯科医院では、磨き方の指導だけで終わることはいたしません。順序があります。
1. どこが削れ、どこが下がっているかを確認します
左右で差はないか、特定の場所だけ進んでいないか。偏りがあれば、そこには磨き方以外の理由があります。
2. 噛んだときの当たり方を調べます
力の集中している歯と、へこみが進んでいる歯が一致していないかを確認します。
3. 支えている骨の状態を確認します
レントゲンで確認します。骨の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込)。
4. そのうえで、その方に合う道具と使い方をご説明します
こんな方は一度ご相談ください
- 硬めの歯ブラシを、力を入れて使っている
- 歯ブラシの毛先が、1か月経たずに広がる
- 歯の根元がしみる、または境目がへこんできた
- 歯ぐきが下がって、歯が長く見えるようになった
- 丁寧に磨いているのに、歯ぐきから血が出る
- 左右のどちらか一方だけ、削れ方が強い
- 食いしばりや歯ぎしりを指摘されたことがある
ひとつでも当てはまる場合、原因は磨き方だけではない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 歯垢はやわらかく、強い力でこすり取る必要はありません
✅ 歯ブラシは「ふつう」か「やわらかめ」、ヘッドは小さめを目安にします
✅ 歯みがき粉はパッケージの裏を見て、フッ素の濃度と研磨剤の有無を確かめます
✅ 削れた歯と下がった歯ぐきは、自然には戻りません
✅ 道具と力を直してもへこみが進む場合、噛む力のかかり方に理由があることがあります
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 電動歯ブラシのほうがよいのでしょうか
A. 電動歯ブラシは道具として非常に優れているます。ただし押しつける力が強いと、手用と同じように削れます。当てるだけで動かさない、という使い方ができるかどうかが分かれ目です。電動歯ブラシをお持ちになっていても自己流で使われており優秀な機能の1割しか使えていない方が多いです。
Q2. 研磨剤の入っていない歯みがき粉では、着色は落ちませんか
A. 落ちにくくはなります。ただ、着色を落とすために毎日削り続けるのは割に合いません。着色は歯科医院で落とすほうが、歯へのダメージは少なくて済みます。
Q3. 1日に何回磨けばよいですか
A. 回数より、1回ごとに届いているかどうかです。とくに就寝前は、時間をかけて丁寧に。糸ようじや歯間ブラシを併せてお使いください。
Q4. しみるので、その場所を避けて磨いています
A. 避けてしまうと、そこに汚れが残り、さらに進みます。しみる原因を確かめて、磨けるようにするのが先です。一度ご相談ください。
Q5. 使っている道具を持って行ったほうがよいですか
A. ぜひお持ちください。毛先の広がり方や減り方から、どのように力がかかっているかが分かります。診断の材料になります。
磨き方や歯の根元のすり減りが気になる方へ
「よかれと思ってやってきたことが、逆だったのかもしれない」
「どれを選べばいいのか、売り場で分からなくなってしまう」
香川県高松市をはじめ、四国各地から、歯の摩耗と咬み合わせのお悩みを抱えた多くの患者様が当院にご相談にいらっしゃいます。
吉本歯科医院では、磨き方の指導だけで終わりにするのではなく、「なぜこうなったのか」「なぜその場所だけ削れたのか」「これから先、噛む力をどう配分すれば残りの歯を守れるのか」という根本から診断を行います。院長は(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医、および(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医として、咬み合わせと補綴の分野で専門的な診療にあたっております。
咬み合わせの専門的な視点から、どの歯に力が集中しているかを評価します。骨の状態を立体的に確認したほうがよいと判断した場合には、3DデジタルCTでの撮影をご提案することがあります(自費・22,000円/税込。エックス線を用いるため、ごくわずかですが被ばくがあります)。
どうぞお一人で悩まずに、お電話またはWEBよりお気軽にご相談ください。

院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。



