2009.07.25ぼっこ助産院
「ぼっこ助産院」というユニークな名前の助産院が四国の香川県高松市にあります。
吉本歯科医院から車で3分も走ればついてしまうところです。
この助産院はNPO法人「いのちの応援舎」が運営しており、赤ちゃんを産むための助産院、お年寄りのためのデイケア、働くお母さんのための病後児保育、おやこ広場がひとつの場所にあります。
ここの代表が全国の助産婦さんの中では知らない人はいないといわれるほどのカリスマ助産師、山本文子先生です。
山本先生は、人間の一生を見られる大家族を作りたいと、看護婦さんや助産婦さんの仲間とこの施設を立ち上げました。
私は2人目の子供の出産はこの「ぼっこ助産院」でした。
一人目の出産は総合病院でした。
一人目の出産の時に本当に死ぬ思いをしたので2人目は絶対に助産院で、と思っていました。
何が違うって、もう全てが違います(――;)
妊婦検診のときから、出産前のケア、出産後のケア、こんなに違うものなの?と正直びっくりです。
病院で出産した時は、感動して嬉しいなんて気持ちよりも、とにかくこの苦しみから解放して頂戴・・・とにかくこのしんどいのをなんとかして頂戴・・・誰か助けてよおおお・・ってずっと半泣き状態でした。
産んだ後も大変で、お腹は痛いは、ほとんど眠れないわ、夜中に金縛りに合うわ、頭の上に何か変な人が立ってる気がするわ、気持ちはどんどん沈んでいくわでもう本当に大変でした。
お産って、こんなもん??
本で読んだのと違うやんってずっと思ってました。
でも、「ぼっこ助産院」でのお産は全然違ったのでした。
月に一回から二回妊婦検診に行くのも楽しみで、いったら、2~3時間は助産婦さんたちとワイワイ言いながら話しこんでました。
何回も通ううちにいろんな妊婦さんたちともたくさん仲良くなりました。
病院では、看護婦さんの顔もほとんど覚えていませんし、たくさん来てた妊婦さんともほとんど話もしてません(泣)
この「ぼっこ助産院」は代表の山本先生があまりにも有名なのと、ちょうどその頃、NHKの全国テレビで取り上げられたこともあって、ここでお産をしたいって人が次から次へとやってきていました。
お産をする部屋は、そのまま入院できる和室で、家族も一緒に泊まることができます。
恐ろしい分娩台の上じゃなく、あったかい畳の上で好きな格好で産むことができます。
「どんな格好で産んだらいいんですか?」と聞くと
「お産がはじまったら自分が産みやすい格好に勝手になるから大丈夫だよ」って。
病院での出産は、妊婦さんが暴れないようにか、ドクターが取り出しやすいようにか、手足を縛られたような状態で固定されてしまいます。
私なんかは大暴れしたもんだから看護婦さんが動かないように2人体制で上から押さえつけられていました。
ほとんど拷問状態です。。。
思い出しただけでも泣けてきます(--;)
それに比べてぼっこ助産院では、陣痛がはじまったらまずベテラン助産師さんがなるべく楽に産めるように体のいろんなところを優しくマッサージしてくれます。
もちろん陣痛が強くなってものすご~く痛くならないと赤ちゃんは出てこないのですがその時の痛みは、病院で味わったものとは全く違います。
前向きな痛み?とでも言いましょうか、痛いんだけどしあわせなあったかい感じが体中にあふれてくるんです。
一人目の時は病院の暗い陣痛室でほとんどほっとかれた状態で10時間ほど麻酔なしで内臓をドリルでかき回されるような痛さでした。
男の人ならショックで死んでるんじゃないんでしょうか?きっと。
助産院では、強い陣痛がはじまってから、1時間程度でツルリンと生まれてきました。
もちろん病院じゃないのでどっこもハサミをいれません。
お産は、動物的になればなるほど、楽に進むらしいです。
だから、ぼっこ助産院でのお産は、動物園のような声がよく聞こえます(笑)
お産が終ってすぐ「またすぐ産みたい」って自分が思うとは想像もしませんでしたが、ここで産んだ人はほとんど同じことを言うそうです。
こんなに気持ちがリラックスして、安心して、しかも、気持ちよく子供が産めるなんて本当すごいことだと思いませんか?
私はこの体験後、これから子供を産む予定の人には「絶対、助産院がいいよ」と話しています。
うちのスタッフたちもこれから結婚して子供を産むなら絶対助産院をおすすめします。
ぼっこ助産院では、産まれたばかりの赤ちゃんが家族だけでなく、デイケアに来られているおじいちゃんおばあちゃんにも抱っこしてもらいます。
産まれたばかりの赤ちゃんは何を言わずとも全ての人に「いのち」の温かさを伝えてくれます。
赤ちゃん抱いて怒る人はいません。
そしてここでは、妊婦検診にもものすこく時間をかけ、一人一人の悩みや不安、お産までの体作り、食事のことなど、きめ濃やかに教えてくれます。
特に食事に関してはすごいこだわりがありました。
私は産後、あまりの居心地の良さに通常1週間の入院のところを、約一ヶ月滞在していました(笑)帰りたくなくって。
その食事の美味しいこと。
お母さんは産まれたばかりの赤ちゃんにおっぱいをあげるので、今日食べたものがそのまま赤ちゃんの体にいきます。
乳製品を控え、お魚、お野菜、お米を中心に、季節のもの、どれも近くの農家さんからその日にやってくる新鮮なものばかりです。
あまり食が太くない私でも、この一ヶ月は3食どんぶり茶碗のご飯とおかずを全て平らげていました。
でもこれだけ食べても全然太らなかったのは、そのぶん赤ちゃんに栄養がちゃんといってたんでしょうね。
ぼっこ助産院の窓をあけるとどの部屋からも気持ちいい田んぼがひろびろと見渡せます。
私が去年の夏入院していた頃は、夕方になると、たんぼから気持ちいい風が部屋に吹き込んできました。
聴こえてくるのは、カエルの鳴き声と、草や木のさわさわする音。
産まれたばかりの娘を抱っこして、出入りするおじいちゃんおばあちゃん、そして妊婦さんや出産後のお母さん達と本当にゆったりした心地いい時間を過ごしていました。
山本先生が言うには、お産や産後にどれだけ母親と子供が気持ちいい時間を過ごせるかでその後の人生は大きく変ってくるんだそうです。
人生の一番最初にそそがれる愛情はやさしくおだやかでどこまでも大きな方がいい。
にこにこと幸せなお母さんから出てくるおっぱいの味は甘くて、怒ってイライラしているお母さんのおっぱいは本当にしょっぱく少し苦味があるそうです。
すごいですよね。
ぼっこ助産院には、あったかくておっきな助産師さんがたくさんいます。
これからお産をされる方はぜひ一度遊びに行ってみて欲しいです。
今朝、久しぶりに山本先生に会いに、ぼっこ助産院へ行ってきました。