2011.03.15東日本大震災
3月11日、その日は大阪で3時半から始まる結婚式に出席するため子供達を連れ新幹線に乗っていました。
まもなく到着ということで、席を立ち出口に向かって歩いていたその時、急に新幹線が止まりました。「あれ?何か変なところで止まったな」と思っていたらアナウンスが入りました。
「ただ今、東北地方で大きな地震がありました。その影響で新幹線しばらくこのまま停車します」
満席状態の乗客がざわざわしはじめ、一斉に携帯電話をかけはじめたり、携帯のテレビや、携帯サイトで情報を探し出しました。
何度も何度もアナウンスが流れ不安は増します。
「関東でも大きい地震があったらしい」
「千葉で地割れが起こったらしい」
乗客からいろんな声が聴こえてきます。
福島に住んでいるあの人は?
一瞬恐怖がよぎりました。
東京でも大きな揺れ?
あの人は大丈夫?
どんどん不安が大きくなりますが、もちろんそんな状態の時に携帯はどこにも繋がりません。
幸い新幹線は20分程度で新大阪駅に到着し、私達は新幹線から降りることができました。
そしてその後テレビから刻々と入る情報を見ながら被災地の受けたその被害の大きさに驚き、信じられないものを見ているようでした。
たまたまこんな悲惨な被害が起こってしまったのが東北だっただけであり、もし場所が違っていれば、そしてその場に自分がたまたまいれば、今こうしてテレビから流れてくる状況を見ているだけの立場は逆だったのかもしれません。
誰しも、今、そう思っているのではないでしょうか?
これは他人事ではなく、困って苦しんでいるのはいつ自分の身に起こるかもしれない、と。
地震が起こってからずっとテレビから流れてくる映像を見ていますが、この地震ほどリアルに津波の猛威を目にしたのは初めてです。
何もかもを一瞬で消し去ってしまいました。
人も街も何もかも。
大自然の前に人間はなすすべもありません。
どんなに、「耐震をしてるから大丈夫」「設計がきちんとしているから大丈夫」「津波がきたって大丈夫」とうたっていても、人間側が一方的に大丈夫と捉えていただけで、大自然の前では、実は無力なのかもしれません。
原発だってきっと被害はもっと大きいのでしょう。
想定外のことが起こっているような気がします。
その情報は知らされなくとも。
3日間行方不明になっていた妻を捜し続けてやっと出会えた夫がテレビに映し出されていました。
歩いてくる妻を見た瞬間にお互いに吸い付くように抱き合い、「お前がおらんようなったら生きていけん」と必死にボロボロ涙を流して生きていることを確かめるように何度も何度も頭をなで肩を抱き、手を堅く握り合って歩いていく姿がありました。
逆に、夫と娘3人が行方不明なんです、と不安げに探す女性。
「私、一人ぼっちになってしまう」と嗚咽をあげて泣きだしてしまう姿。
家族を探し、友達を探し、「生きていてくれるだけでいい」と必死で願う姿。
小さな子供を抱え寒さから守るようにずっと自分のジャンパーの中に子供を抱きかかえ「大丈夫よ、大丈夫よ」と笑いかける若いお母さんの姿。
3日ぶりに救出されたおじいちゃん、「また再建しましょう」と笑顔で答える姿。
涙が出ます。
人との絆、家族の大切さを今、誰しも強く感じている時だと思います。
しかし、これだけの災害でありながら、強奪とか店舗荒らしがない、あるいは少ないそうです。
こんなことは世界でも珍しいんだそうです。
「自分さえよければいい」ではなく、お互いが支えあい、助け合い、とにかく励まし合っていこうというその一人一人の気持ちがエネルギーになっているんだと思います。
被災地から遠く離れたこの地にいても、一人一人の意識が大きく変わっているのを感じます。
そして私自身も。
この地震によって多くの人の価値観は大きく変わると思います。
支えあい、助け合い、繋がりはじめる。
そうしないと人は生きてはいけないからです。
被災に合われた方には、他人事で本当に申し訳ないです。
東日本大震災で犠牲になられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。