2016.02.25噛み合わせを無視したインプラントをするとどうなるのか?
噛み合わせを無視したインプラントをするとどうなるのか?
結論から言うと簡単に壊れてしまいます。
ご自身の歯も、
治療した後に被せた被せ物や詰め物も、
ブリッジも、
インプラント、
入れ歯(義歯)も、
所詮噛むための道具に過ぎません。
インプラントだから噛めるということではないのです。
すべてあくまで道具なのです。
その道具を無視した使い方をすれば必ず壊れるのです。
この時に許容範囲が広いのがインプラントです。
ですのでインプラントにすれば壊れやすかったものが壊れにくいということは確かにあるのです。
しかしながら何でも噛めるというわけではないのです。
そこが難しいのです。
例えば両足で歩けば1km 2km歩けるでしょう。
しかし、片足ケンケンだとどうでしょうか?
どんなに元気な方であっても100mも片足ケンケンすれば
膝が痛くなったり
腰が痛くなったり
されるのではないでしょうか。
何とかもったとして、その後普通に右足左足両足で普通に歩けるでしょうか?
ねじれてしまって歩けないんじゃないでしょうか?
実はインプラントにも欠点というのがあります。
それは
インプラントは動かない、
ということなのです。
動かないのは実は長所なのです。
動かないから噛めるのです。
ではなぜ「動かない」ということが欠点なのでしょうか?
実はご自身の歯は簡単に動くのです。
ご自身の歯は歯根膜というクッションによって覆われていますから物と物を噛んだ時に一瞬当たった後、動いているのです。
ご自身の歯は動くもの、
インプラントは動かないもの、
なのです。
動くものと動かないものが共存するということはどういうことでしょうか。
例えば車をイメージして下さい。
昔の車に対して今の車はとても乗り心地がいいものとなりました。
大きな影響としてはタイヤ、車輪ですよね。
車輪がタイヤになったということです。
まだ車にゴムのタイヤがなかった時代、
たとえば
金属製の車輪だった頃、イメージしてみてください。
ガタガタガタガタ、すごく乗り心地の悪かったことでしょう。
タイヤになることによって、スプリングが入ることによって、その衝撃が車体や乗っている方にいくことを緩められ、故障が少なくなったり乗り心地が良くなったりしたのでしょう。
昔のインプラントは残っていらっしゃるご自身の歯と繋げる、いわゆるブリッジのようなことをしていたことが過去の先生方には多くありました。
例えば歯を失われた場合、両隣の歯を繋げるブリッジという方法があります。
それによって弱いもの同士を繋ぐことによってすごく強くなり長く持っている。
だからインプラントを入れた後、本数を多く入れると当然費用が掛かるわけですから残っている歯と繋いでブリッジにしよう。
単純に考えればすごくいい治療のように思われます。
しかしながらこの治療の結果は、「いやそれで今もうまくいっているよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方が実はトラブルになっていらっしゃいます。
そして公益社団法人である日本口腔インプラント学会という日本で歯科の中で一番大きな学会がありますが、その「インプラントを治療するにあたって」という治療指針の中にインプラント同士は繋いでもいいが、残っているご自身の歯とインプラントを繋いではいけないと明確に書かれています。
ご自身の歯とインプラントを繋ぐ治療法は過去の治療法であり、その結果はよくない。
それゆえにその結論としてご自身の歯、つまり動くものとインプラント動かないものを繋いではいけない。というふうに明言されているのです。
実は口全体ということで考えると、動かないインプラントと動くご自身の歯が共存しているわけです。
ご自身の歯が動くとはいえ、そんなに大きくグラグラ動くわけではありません。
歯周病でもない限り。
当たって少し動く程度です。
ですからインプラントと繋いだ場合には、少し動いた力がすぐにインプラントにかかります。
ですからダメです。
口全体ということになれば、例えばトラックやトレーラー、タイヤがいっぱいのものをイメージしてみてください。
口の中の歯は28本です。
28本のタイヤがあるとイメージしてみてください。
この内2~3本が金属の車輪だったとしたら乗り心地どうでしょう。
そんなに大きくは変わらないかもしれません。
金属の車輪を少し低め、当たりを少なくする。
他のタイヤのほうはへこんだりしますから、そのへこみ分小さいタイヤ(金属の車輪)を付ければ乗り心地はほとんど変わらないですよね。
ですからご自身の口の中でインプラントとご自身の歯が共存する場合には、実はインプラントの当たり方は弱くしているのです。
弱くするような調整をしないと長く持たせられることができないのです。
インプラント治療した後、
「なにか噛んだ感じが低い感じがする」
「他の歯より弱い感じがする」
とおっしゃられる方が多くいらっしゃいます。
あえてわざとそのように調整をしているのです。
実はインプラント治療を開発されたブローネマルク先生はそこまでよくわかっていらっしゃいました。
ですからすべての歯を失われた方への治療法としてインプラントを推奨されていたのです。
つまり総入れ歯の方、総入れ歯だった方を対象にインプラント治療を推奨されていたのです。
すべての歯を失われた方のためのインプラント治療なのです。
何本かの歯を失われた方に対してインプラント治療は推奨されていないのです。
その後研究が進み、そのような力の差、動く動かないものの差、ということがわかってきて他の歯よりも若干弱めにすることによってある程度噛むという行為が取り外しの義歯よりも出来るということが分かってきたので、今応用されているのです。
治療した年齢の時はあくまでも残っている歯がいかに長く残っているか、残って居続けるものとして治療計画は進んでおります。
ですからインプラント治療で大事なことは
■将来他の歯がいつダメになるのか、
■どのようにダメになるのか、
■ダメになった時にどうしなければいかないのか、
ということが実は重要なのです。
『インプラントと関係ない歯が故障した』
『インプラントと関係ない歯を抜かないといけなくなった』
という時に実は噛み合う場所であったり、重心バランスが変わったりするのです。
そのような状態である程度のものは噛めるのです。
しかしそこで気付かず噛み続けると実は壊れてしまうのです。
必ずインプラント治療をされた患者様は他の歯を治療したとしても、インプラント治療をした先生に全体のバランス、そのままで大丈夫なのかどうか、なんらかの調整が必要なのかどうか、ということを診て貰う必要があるのです。
『噛んだ感じ、わからない』
『違う歯だからいいだろう』というそういうことで治療していると実は後でとんでもない悲劇に遭ったりするのです。
https://www.8181118.com/director/2013/04/post-68.php
↑インプラントをされた方で、他の歯の治療をお受けになった場合は急に噛み合わせのチェックを受けて下さい。
全部の歯を失われた方は全部インプラントにしてしまえば、そういうトラブルはないのです。
非常に起きにくいことになります。
ですから何十年も持っている方は十分にいらっしゃるのです。
他の歯がダメになった時にどうするのか、ということをしっかりと考えてからインプラント治療を受けないと、後で大変なことが起こってしまうのです。
今さえ良ければいいという考えではダメなのです。
インプラントというものは将来、他の歯がダメになった時にどのようにするかというところまで治療計画を立てておく必要はあると思います。
そして何よりも大事なこと、残っている歯がダメにならないようにするために、歯は簡単に動いていきますから残っている歯が動かないようにするために、どういうことをしないといけないのか。
例えばマウスピース、必ずマウスピースを付けるということ。
必ずメインテナンスを受けるということ。
これが
『面倒くさい』
『定期的な歯の掃除なんか』
ということであれば、逆にインプラント治療は受けてはいけないのです。
↑
https://www.8181118.com/implant/