2010.08.28歯科医療に関する私の考え方
通常何かが壊れたならば、その原因を突き止めようとします。
しかしながら、日本は敗戦国でありお金、医療に対するものに対してなるべくお金を使いたくないという時代になっていってしまいました。
そんな中で、お金をかけないようにその場その時だけのこと、また医療がいつの間にか
「患者様」になってきました。
「患者様=お客様」です。
医療の本質というものが見えなくなり、そのニーズ、サービス業としてのものが重要視されるようになれ、ニーズ・患者さんのニーズということを重要視される時代に入っていってしまいました。
ところが実際にはそういう風に歯が崩れる、壊れるには原因があり、そこを本当は治すのが医療です。
ところがニーズという名の下に「ここだけ治して下さい、ここだけ掃除をして下さい、この歯が痛いからこの歯を治療して下さい」、というようなニーズに逆らわざるを得ないような時代が
歯科業界にもやってきました。
根本的な問題を説明したとしても、
あそこは儲け主義だとか、
あそこは他の治療までされた、
言ってるところと違うところの治療をされた、
そういう風にして逆に「本当にこの人をどうにかして治してあげたい」と頑張る先生ほど非難を浴びるような時代がやってきてしまったのです。
しかし、そういったニーズに応えるだけの対処療法的な治療によって、実は患者さんの負う負担は大きいものになってしまいます。
また当初、昔何十年前においては何本も欠損をしたその分を補うにはブリッジとか入れ歯という手法しかありませんでした。
残念ながら入れ歯とかブリッジとかいう手法は、見た目に元のようになったとしても戻った訳ではありません。
見た目にプレハブみたいなのを乗せただけであり、元々の構造はまったく変わっていない。
つまり以前昔にマンションの偽造問題が出ましたよね?
構造、柱の所はまったく丈夫でもないにも関わらず、上物だけをボンボンボンとかぶせて見た目にきれい、中ではボロボロそれがつまりブリッジです。
3本しか歯がない(はがない)にも関わらず、5本6本歯があるように見せかけた。
それがためにそれが崩れていってしまう、そういうことが繰り返し行われていました。
なので、全体を治療するということ自体、また歯を抜く抜かないの基準にあっても、抜かないのがいい基準である、それがいい歯医者であるという風潮が多く流れるようになってしまいました。
確かに歯を残すのか残さないのか、という議論ならば将来歳をとった時に歯があった方がもちろん噛めるので歯はあった方がいい。
でも、それがために他の歯、隣り合う歯をダメにする、向かい合う他の歯をダメにする、そういう歯もあるのです。
その場合には、確かに1~2年間考えた時には歯の本数はあるが、10年後ということを考えると、長いスパンで考えたならば、結局残っている歯の本数は劇的に減ってしまうのです。
なので、その場合には抜いたほうがいいと診断されることもあります。
だが、そういうことに対して「あの先生は歯を抜くそうだ」、だから、いい、悪い歯医者だということでいってしまう、そういう風潮が長く行われていました。
そういうことでもって全体的治療そのものをする先生がこの日本に非常に少なくなってしまいました。
また自然の神に逆らうことになるので、今あるものは触らないという風潮になってきました。
噛み合わせというものは、たった1ミリ2ミリずれるだけでも全身にものすごい大きい変化を及ぼします。
体調に対してものすごい悪い影響、変化を及ぼすことがあります。
つまり、正しいところは元々あり、それが10年20年かけて崩れている中で、本当に正しい位置に戻したとしても、10年20年かけて悪くなったものを、たった1日2日で変化を戻したならば、それは人間の身体として受け入れられることはできないのです。
だから、そういう時間と期間をかけて治していく。
つまり、日にちがかかるのです。
費用もかかるのです。
残念ながら、今の日本においてはそのような治療方法は良しとはされてはいません。
「早くて安くて」そのようなことを優先されるがために、歯をいっぱい抜かれる羽目になってきています。
歯をいっぱい削られてボンと乗せられるようになっています。
そんなことでもって、全体的な治療そのものが行われなくなったのです。
そんな時代の中において、私、吉本彰夫は10年という期間に症例を何人も持つことにより、単純な治療、一時的な治療、つぎはぎだけの治療では残念ながら歯は失わされていくという現実にみまわされたのです。
絶対大丈夫といわれた接着ブリッジにおいても、他の歯がダメになった時には壊れてしまいます。
また、インプラントにおいても、どんなにインプラントが丈夫といっても単なるネジです。
10年経ち20年経ちそういう症例が増えるにつれインプラントだから大丈夫ではない。
インプラントとと言えども、その場所・力に応じた本数であり、長さであったり、太さなりが必要です。
そういうのが維持されて初めて、残っている他の歯が維持されるのが初めてインプラントは本当の力を発揮できるわけです。
つまり歯は常に動く、一生動き続けます。
それに対して対処できるような状態を維持させなければ、まったく噛み合せというものは維持できないわけなのです。
つまり治療が終わったからといっても、それは一時的に終わったのであって、それを維持するという治療を開始しなければ必ず崩れます。
だから、どんなに費用を作ってもかけても、どんなに自由診療で治療したとしても、結局上の前歯5本6本白い歯に昔したんだけれども、セラミックにしたんだけれども、10年経った時に歯茎が黒くなってきて、折れてきて、飛び出てきて、ということがどんどん起こるのです。
現実に私の医院には、日々、お悩みの相談が寄せられます。
「過去にインプラントをしたところがどんどん崩れてきた」
「セラミックを入れた前歯が前に飛び出てきた」
「前歯が折れた」
現在の日本の歯科医院の多くで行われている「見えている部分だけ」の治療を
続けていれば、このようなお悩みを抱えた患者さんがもっともっと溢れてくることは
簡単に想像がつきます。
私の医院では、
あなたの前歯はなぜ、折れたのか?
なぜ、歯が崩れだしたのか?
なぜ、同じところが何度も虫歯になるのか、故障するのか
その根本的な原因となることを吉本彰夫以下全員のスタッフが理解し
お越しになられる患者さんお一人お一人にお伝えしています。
そして、そのことがきちんと患者さんにご理解頂いているからこそ、
「最後には吉本歯科医院へ」と多くの患者さんにご指示いただけている理由だと
確信しております。